HI法による血小板特異抗原の検出法

1. 目的:従来, 血小板特異抗原の検出法は種々報告されているが, 感度およびその定量性には問題が残る. 今回, 赤血球凝集抑制法(HI法)を用い, 血小板特異抗原を感度良く検出するばかりでなく, 簡便かつ定量性をもって検出する方法を確立しようと試みた. 同時に, 使用する検体, 抗体, 感作血球が微量(5μl)で検出できるテラサキプレート(U型)への応用についても検討した. 2. 方法および成績:測定対象とする特異抗原を持つ供血者より血小板を分離した後, 超音波により血小板を破砕し, 界面活性剤によって処理して可溶化血小板膜抗原を得た. これを固定ヒツジ赤血球に感作した. 調製した血小板膜抗...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 2; p. 220
Main Authors 小沢直宏, 矢沢百合香, 山本恵美, 高本滋, 柴田洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1989
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ISSN0546-1448

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Summary:1. 目的:従来, 血小板特異抗原の検出法は種々報告されているが, 感度およびその定量性には問題が残る. 今回, 赤血球凝集抑制法(HI法)を用い, 血小板特異抗原を感度良く検出するばかりでなく, 簡便かつ定量性をもって検出する方法を確立しようと試みた. 同時に, 使用する検体, 抗体, 感作血球が微量(5μl)で検出できるテラサキプレート(U型)への応用についても検討した. 2. 方法および成績:測定対象とする特異抗原を持つ供血者より血小板を分離した後, 超音波により血小板を破砕し, 界面活性剤によって処理して可溶化血小板膜抗原を得た. これを固定ヒツジ赤血球に感作した. 調製した血小板膜抗原感作血球は抗Pl^A1 , 抗Yuk^b 血清をそれぞれ高力価で凝集せしめた. そこで抗Pl^A1 と抗Yuk^b の抗体価をそれぞれ2~4倍になるように希釈して吸収用の抗体とし, Pl^A1 とYuk^b を検出するHI法の検出系(マイクロプレート:25μl)を作製した. 本検出系を用いて測定した結果, Pl^A1 とYuk^b は血小板膜抗原でそれぞれ4000, 96倍, 血小板抽出抗原で512, 64倍, そして日赤濃厚血小板浮遊液では256, 32倍であった. なおPl^A1 の陰性対照としてはPl^A2 ホモの血小板膜抗原を, Yuk^b にはYuk^a ホモの血小板抽出抗原をそれぞれ用いたが, いずれも陰性であった. またテラサキプレートで検体, 抗体, 感作血球の量をそれぞれ1/5の5μlにして行なったが, マイクロプレート法とほぼ同様な成績が得られた. 3. 結論:血小板特異抗原であるPl^A1 とYuk^b を特異的に, しかも半定量的に検出するHI法が確立された. 本法は同定用の抗原を一定にできるという特性がある. この結果, 単に血小板特異抗原を同定できるばかりでなく, ある程度定量的に検出することが可能となった. また, テラサキプレートを用いることにより, 貴重な抗血清などをマイクロ法の1/5量で同様に検出することも可能であった.
ISSN:0546-1448