若年者に発生した原発性良性脊椎腫瘍の4例

「はじめに」原発性脊椎腫瘍は稀ではあるが, 見逃してはならない疾患である. 近年, CTやMRI等の画像診断の進歩により, 発症早期に発見されることが多く, また, 病態把握も正確になってきた. 若年者の脊椎腫瘍の手術に際しては, 脊椎機能や脊柱配列の温存に格別の配慮が必要である. 我々は, 若年者に発生した原発性良性脊椎腫瘍の4例(動脈瘤様骨嚢腫2例, 骨芽細胞腫2例)に対して観血的治療を行なったので, 症例の概要を述べ, 文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1:21歳, 男性, 大学生. 1996年12月, 特に誘因なく, 腰痛が出現した. 単純X線, CTにてL4椎体の圧壊を認めたた...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 4; pp. 1056 - 1060
Main Authors 高宮啓彰, 永田見生, 後藤博史, 薗田恭輔, 井本浩樹, 真島武, 吉松弘喜, 岩崎敏展, 富田勝郎, 河原範夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1999
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」原発性脊椎腫瘍は稀ではあるが, 見逃してはならない疾患である. 近年, CTやMRI等の画像診断の進歩により, 発症早期に発見されることが多く, また, 病態把握も正確になってきた. 若年者の脊椎腫瘍の手術に際しては, 脊椎機能や脊柱配列の温存に格別の配慮が必要である. 我々は, 若年者に発生した原発性良性脊椎腫瘍の4例(動脈瘤様骨嚢腫2例, 骨芽細胞腫2例)に対して観血的治療を行なったので, 症例の概要を述べ, 文献的考察を加えて報告する. 症例 症例1:21歳, 男性, 大学生. 1996年12月, 特に誘因なく, 腰痛が出現した. 単純X線, CTにてL4椎体の圧壊を認めたため, 生検を行った. 組織診断は動脈瘤様骨嚢腫であった. 主訴は腰痛であり, 他覚的臨床所見はなかった. 手術を勧めたが, 症状が軽かったためか同意を得られず, 動脈塞栓術が有効との報告があり1), 1997年4月これを施行した. しかし, 腫瘍の増大とともに腰痛が増強し, 感覚障害及び筋力低下が出現してきたため1998年3月手術を施行した.
ISSN:0037-1033