腎疾患診療における尿中L-FABPの有用性

「はじめに」慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease; CKD)は, 成人の8人に1人が罹患している国民病である. CKDは, 進行すると末期腎不全となり血液透析などの腎代替療法が必要となる. 現在, 末期腎不全患者は, 主に高齢者を中心に増加し, 血液透析患者は, 32万人に達している. さらに血液透析診療にかかる医療費は, 年間1兆円を超えており, 患者の福祉向上に加え, 医療経済的にも, 腎疾患治療法の開発は重要である. また, CKDは心血管系イベントの独立した危険因子である事が示されており, CKD診療では, 心血管疾患の発症にも注意していく必要がある. 生物学的製剤...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 143 - 147
Main Author 池森敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 聖マリアンナ医科大学医学会 01.11.2017
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ISSN0387-2289

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Summary:「はじめに」慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease; CKD)は, 成人の8人に1人が罹患している国民病である. CKDは, 進行すると末期腎不全となり血液透析などの腎代替療法が必要となる. 現在, 末期腎不全患者は, 主に高齢者を中心に増加し, 血液透析患者は, 32万人に達している. さらに血液透析診療にかかる医療費は, 年間1兆円を超えており, 患者の福祉向上に加え, 医療経済的にも, 腎疾患治療法の開発は重要である. また, CKDは心血管系イベントの独立した危険因子である事が示されており, CKD診療では, 心血管疾患の発症にも注意していく必要がある. 生物学的製剤など, 多くの新薬が開発されている中, 残念ながら腎疾患分野における医薬品開発は十分に行われていない. CKDは, 進行が緩慢で, 長期間にわたることから, 臨床治験の実施が困難であることが一つの理由である.
ISSN:0387-2289