家族性肥厚性皮膚角化症・食道癌症候群(TOC)の原因遺伝子

家族性肥厚性皮膚角化症・食道癌症候群(TOC)/Howel-Evans症候群は常染色体性優性遺伝性疾患で, 掌蹠角化症, 口腔内白板症, 食道癌のハイリスク群として知られている. これまでの研究を通してTOCの原因遺伝子の座位は17q25.1-q25.2に絞り込まれていた. 2012年, シークエンスキャプチャーアレイ技術を用い, 本症家系の患者にRHBDF2遺伝子のミスセンス変異が検出された. RHBDF2はrhomboidと呼ばれる7回膜貫通型タンパクに属するが, その機能はまだ未解明の部分が多い. 現在のところEGFシグナル伝達系を標的とし, その活性を制御していると考えられている. 変...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 13; no. 1; pp. 32 - 34
Main Authors 田村和朗, 金相赫, 喜多瑞穂, 石川真澄, 伊田和史, 鵜飼篤史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 15.01.2013
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ISSN1346-1052

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Summary:家族性肥厚性皮膚角化症・食道癌症候群(TOC)/Howel-Evans症候群は常染色体性優性遺伝性疾患で, 掌蹠角化症, 口腔内白板症, 食道癌のハイリスク群として知られている. これまでの研究を通してTOCの原因遺伝子の座位は17q25.1-q25.2に絞り込まれていた. 2012年, シークエンスキャプチャーアレイ技術を用い, 本症家系の患者にRHBDF2遺伝子のミスセンス変異が検出された. RHBDF2はrhomboidと呼ばれる7回膜貫通型タンパクに属するが, その機能はまだ未解明の部分が多い. 現在のところEGFシグナル伝達系を標的とし, その活性を制御していると考えられている. 変異RHBDF2タンパクは機能を獲得しており(gain-of function), 細胞内のEGFRシグナル伝達を維持することで過剰増殖につながると考えられている. さらにTOC患者では制御を欠いた創の修復が食道など上部消化管の上皮に前癌病変を発生させるとの仮説が報告された.
ISSN:1346-1052