神経再生誘導チューブ (ナーブリッジ(R)) を用いた海綿体神経再生の基礎研究

「要旨」【目的】根治的前立腺摘除においては, 神経温存術式が選択されず機能温存ができない症例も存在する. 今回, 我々は臨床現場で使用されている神経再生誘導チューブを用いた勃起機能温存に関して動物実験によりその可能性を検討した. 【方法】8週齢雄性SDラットを用い, 海綿体神経を2mm切除し損傷モデルを作成し, 治療群として切除部に径1.5mmのナーブリッジ(R)を縫合した. 治療を行わず, 切除したままのモデルを損傷群とした. また, 神経損傷を行わないsham手術群を, コントロール群とした. 術後8週目で勃起能評価を行い, 海綿体神経を電気刺激し海綿体内圧/血圧(ICP/AP)をモニタリ...

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Published in日本性機能学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 225 - 229
Main Authors 小林皇, 野藤誓亮, 岡部洸, 萬谷和香子, 橋本浩平, 田中俊明, 舛森直哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本性機能学会 30.12.2023
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ISSN1345-8361

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Summary:「要旨」【目的】根治的前立腺摘除においては, 神経温存術式が選択されず機能温存ができない症例も存在する. 今回, 我々は臨床現場で使用されている神経再生誘導チューブを用いた勃起機能温存に関して動物実験によりその可能性を検討した. 【方法】8週齢雄性SDラットを用い, 海綿体神経を2mm切除し損傷モデルを作成し, 治療群として切除部に径1.5mmのナーブリッジ(R)を縫合した. 治療を行わず, 切除したままのモデルを損傷群とした. また, 神経損傷を行わないsham手術群を, コントロール群とした. 術後8週目で勃起能評価を行い, 海綿体神経を電気刺激し海綿体内圧/血圧(ICP/AP)をモニタリングした. 【結果】コントロール群5匹, 損傷群5匹, 治療群5匹で評価を行った. コントロール群のICP/APは平均0.566で, 損傷群のICP/APは平均0.138とコントロール群に比較して有意に低かった(Mann-WhitneyのU検定, P<0.05). 治療群のICP/APは平均0.284と統計学的にはコントロール群との有意な差は認めなかった. 【結語】神経再生誘導チューブを用いて, 海綿体神経損傷部の機能温存が図られ勃起機能が維持される可能性が動物実験で示された.
ISSN:1345-8361