経皮経肝静脈瘤塞栓術(PTO)を試みた直腸静脈瘤の1例
「和文要旨」症例はHCV陽性肝硬変の74歳の女性. 直腸静脈瘤からの出血によりショックを呈して入院となった. 静脈瘤は下腸間膜静脈を供血路として発達し, 主な排血路は左右の内腸骨静脈であった. 大口径の短絡路は認められなかった. 排血路からのアプローチは困難と考え, 下腸間膜静脈をコイルで塞栓した. 術後2週間の内視鏡では直腸静脈瘤は縮小しRC signは消失していた. しかしCTでは局所の血流残存を認め血流遮断は不完全と考えられた. 門脈圧亢進症に伴う直腸静脈瘤からの出血例は治療に難渋することが多く, 標準的な治療は確立されていない. 今回, 供血路塞栓でコントロールを試みた1例を経験したた...
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| Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 69; no. 2; pp. 108 - 110 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本消化器内視鏡学会関東支部会
05.12.2006
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| ISSN | 1348-9844 |
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| Summary: | 「和文要旨」症例はHCV陽性肝硬変の74歳の女性. 直腸静脈瘤からの出血によりショックを呈して入院となった. 静脈瘤は下腸間膜静脈を供血路として発達し, 主な排血路は左右の内腸骨静脈であった. 大口径の短絡路は認められなかった. 排血路からのアプローチは困難と考え, 下腸間膜静脈をコイルで塞栓した. 術後2週間の内視鏡では直腸静脈瘤は縮小しRC signは消失していた. しかしCTでは局所の血流残存を認め血流遮断は不完全と考えられた. 門脈圧亢進症に伴う直腸静脈瘤からの出血例は治療に難渋することが多く, 標準的な治療は確立されていない. 今回, 供血路塞栓でコントロールを試みた1例を経験したため報告する. 「はじめに」直腸静脈瘤は食道・胃静脈瘤の頻度に比べ稀であるが, 破裂した際には大量出血をきたすことが多く, 緊急に検査, 治療が必要になる. しかし, 適切な治療法は未だ確立されておらず症例の集積が望まれる1~4). 今回我々は, 血便を契機に発見された直腸静脈瘤に対し経皮経肝静脈瘤塞栓術(以下, PTO)にて加療した1例を経験したので報告する. |
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| ISSN: | 1348-9844 |