高齢者結核 ~課題と対策を考察する
「はじめに」日本の平均寿命は世界で最も長く, 新規に届け出される結核患者の多くは高齢者によって占められている. 低蔓延国になった現在, 高齢者結核の課題と対策について概説する. 「疫学からみた高齢者結核」世界における年齢別結核患者数は, 女性では15~34歳, 男性では25~54歳にピークが見られる. 一方, 日本では65歳以上の高齢者がおよそ全体の3分の2を占めており, 高齢になるに従い増加する傾向を特徴とする. 85歳以上の新規結核届出数は2016年までは上昇していたもののその後すべての年齢層で低下し, 2021年にはついに低蔓延状態に到達した. 結核の統計におけるCOVID-19パンデミ...
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Published in | 結核 Vol. 98; no. 6; pp. 215 - 217 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.09.2023
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 「はじめに」日本の平均寿命は世界で最も長く, 新規に届け出される結核患者の多くは高齢者によって占められている. 低蔓延国になった現在, 高齢者結核の課題と対策について概説する. 「疫学からみた高齢者結核」世界における年齢別結核患者数は, 女性では15~34歳, 男性では25~54歳にピークが見られる. 一方, 日本では65歳以上の高齢者がおよそ全体の3分の2を占めており, 高齢になるに従い増加する傾向を特徴とする. 85歳以上の新規結核届出数は2016年までは上昇していたもののその後すべての年齢層で低下し, 2021年にはついに低蔓延状態に到達した. 結核の統計におけるCOVID-19パンデミックの影響は明らかである. 世界における結核の新規届出数は, 2019年から2020年にかけて18%の低下が見られている. 結核死亡数は, それまで緩徐に低下傾向であったものが2020年から上昇に転じている. このことは, COVID-19パンデミックによって結核の診断が抑制され, 重症化して発見されている可能性を示唆している. |
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ISSN: | 0022-9776 |