先天性ゴナドトロピン単独欠損症に対しゴナドトロピン自己注射にて性腺機能の回復を認めた一例

「要旨」 症例は19歳男性. 二次性徴の発現がみられず当院紹介となった. 初診時の身長は年齢相応であり, 変声は認められなかった. 陰毛は少量で短く, 陰茎は小児様でtanner分類は第2期であり精巣体積は両側1mlと著明に萎縮していた. テストステロン0.17ng/ml, LH0.1mIU/ml, FSH0.6mIU/mlと低値であった. その他の下垂体ホルモン値, 各種負荷試験にて明らかな異常はなし. MRI検査では下垂体は著明に萎縮していた. 以上から下垂体機能低下による性腺機能低下と考えた. 嗅覚障害は認めず, 外傷などの後天的な要素を認めなかったことから, 先天性ゴナドトロピン単独欠...

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Published in日本性機能学会雑誌 Vol. 38; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 佐々木雅英, 中澤龍斗, 清水嵩, 松原圭輔, 塚田光, 山田龍治, 與座直利, 青木直人, 西智弘, 相田紘一朗, 早川望, 篠田和伸, 丸井祐二, 菊地栄次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本性機能学会 30.06.2023
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ISSN1345-8361

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Summary:「要旨」 症例は19歳男性. 二次性徴の発現がみられず当院紹介となった. 初診時の身長は年齢相応であり, 変声は認められなかった. 陰毛は少量で短く, 陰茎は小児様でtanner分類は第2期であり精巣体積は両側1mlと著明に萎縮していた. テストステロン0.17ng/ml, LH0.1mIU/ml, FSH0.6mIU/mlと低値であった. その他の下垂体ホルモン値, 各種負荷試験にて明らかな異常はなし. MRI検査では下垂体は著明に萎縮していた. 以上から下垂体機能低下による性腺機能低下と考えた. 嗅覚障害は認めず, 外傷などの後天的な要素を認めなかったことから, 先天性ゴナドトロピン単独欠損症の診断に至った. 治療は妊容性を考慮しゴナドトロピン自己注射を選択した. 治療開始後に血中テストステロン値は速やかな改善を認めた. 精巣体積は経時的に増大し, 30ヶ月で右6.0ml, 左3.4mlと改善を認めた. その他の身体的変化に関しても, 8ヶ月で陰毛の出現と変声, 精通を認めた. 現在も5日おきにゴナドトロピン5000単位を自己注射し血中テストステロン値は4~7ng/ml程度に維持している.
ISSN:1345-8361