左主幹を閉塞する腫瘍を気管支ファイバースコープでそぎ取り救命した肺癌右肺全摘後再発の1例

症例は76歳, 男性. 2年前に肺扁平上皮癌で右肺全摘術を受けた. 喘息様呼吸困難で来院し, 入院後窒息状態となった. ベッドサイドでの緊急気管支鏡で左主幹起始部を閉塞する球形の再発腫瘍を認めた. 内腔は全く認められなかったが腫瘍の辺縁より強引に気管支鏡を押し込むと外側に気管支鏡が通過可能な部位があり, 腫瘍より末梢の気管支は正常であった. 腫瘍を越える気管支鏡ガイド下挿管あるいはバルーンによる拡張術を試みたが不可能なため, 気管支鏡を腫瘍より末梢に挿入後アングルをいっぱいにかけて反転させて引き戻すことにより腫瘍をそぎ取り気道を確保した. 3日後に左上下幹分岐部近くまで至るロングTチューブを挿...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 3; p. 253
Main Authors 加藤良一, 山畑健, 尾仲章男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.05.1997
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は76歳, 男性. 2年前に肺扁平上皮癌で右肺全摘術を受けた. 喘息様呼吸困難で来院し, 入院後窒息状態となった. ベッドサイドでの緊急気管支鏡で左主幹起始部を閉塞する球形の再発腫瘍を認めた. 内腔は全く認められなかったが腫瘍の辺縁より強引に気管支鏡を押し込むと外側に気管支鏡が通過可能な部位があり, 腫瘍より末梢の気管支は正常であった. 腫瘍を越える気管支鏡ガイド下挿管あるいはバルーンによる拡張術を試みたが不可能なため, 気管支鏡を腫瘍より末梢に挿入後アングルをいっぱいにかけて反転させて引き戻すことにより腫瘍をそぎ取り気道を確保した. 3日後に左上下幹分岐部近くまで至るロングTチューブを挿入し気道を確保した. Tチューブ挿入4ヵ月後の現在自宅療養中である.
ISSN:0287-2137