虚血性心疾患のCT診断の功罪

虚血性心疾患の診断において, 冠動脈に狭窄病変があるかどうかということを評価することは重要であり, これは, 従来カテーテルを用いた冠動脈造影という侵襲的な方法でなされてきました. しかし, 近年のCTスキャンの進歩は, この冠動脈をカテーテルを用いることなく, 非侵襲的な方法で撮影することを可能とし, 特に, 検出器の多列化とともにそれをより精度の高い形で実現してまいりました. (1)動く心臓の表面を走る細い冠動脈をCTでみる, このようなことが実現できるようになった背景には8列, 16列, 64列と進んできた検出器の多列化, 検出器の感度を高めたことによる空間分解能の向上, ガントリー回転...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 6; pp. 760 - 763
Main Author 井口信雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.06.2012
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ISSN0586-4488

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Summary:虚血性心疾患の診断において, 冠動脈に狭窄病変があるかどうかということを評価することは重要であり, これは, 従来カテーテルを用いた冠動脈造影という侵襲的な方法でなされてきました. しかし, 近年のCTスキャンの進歩は, この冠動脈をカテーテルを用いることなく, 非侵襲的な方法で撮影することを可能とし, 特に, 検出器の多列化とともにそれをより精度の高い形で実現してまいりました. (1)動く心臓の表面を走る細い冠動脈をCTでみる, このようなことが実現できるようになった背景には8列, 16列, 64列と進んできた検出器の多列化, 検出器の感度を高めたことによる空間分解能の向上, ガントリー回転速度の高速化による時間分解能の向上, さらには, 膨大なデータから瞬時に3D画像の構築を可能とするワークステーションによる再構成技術の進歩などがあげられます(図1). 最近では, 検出器を256列や320列とした, さらなる多列化を実現したものや, 管球-検出器のセットを2つにして時間分解能を倍にしたもの, また, 検出器をより高感度のものとして高い空間分解能を実現したものなどが登場し, より精度の高い冠動脈CT検査が行われるようになっています.
ISSN:0586-4488