肺癌手術における予防的気管支断端被覆の検討
筋弁による予防的断端被覆の妥当性について検討した. 【対象】Stapleによる気管支閉鎖を導入した1984年4月から, 2003年末までに縦隔郭清を伴う肺葉切除以上の手術を行った原発性肺癌619例を対象とした. 【方法】筋弁被覆をroutineに施行する様になった1995年を境に前後期に別け, 術後気管支断端瘻発生率を比較した. 断端被覆の対象は, Historical controlの瘻発生例の検討から, 術前化療または放治施行例, 右全摘, 右下葉, 中下葉切除例とし, 被覆は肋間筋を原則とした. 【結果】前期275例(右152, 左123), 瘻発生は5例(1.81%)であった. その内...
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Published in | 気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 254 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本呼吸器内視鏡学会
10.05.2004
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 |
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Summary: | 筋弁による予防的断端被覆の妥当性について検討した. 【対象】Stapleによる気管支閉鎖を導入した1984年4月から, 2003年末までに縦隔郭清を伴う肺葉切除以上の手術を行った原発性肺癌619例を対象とした. 【方法】筋弁被覆をroutineに施行する様になった1995年を境に前後期に別け, 術後気管支断端瘻発生率を比較した. 断端被覆の対象は, Historical controlの瘻発生例の検討から, 術前化療または放治施行例, 右全摘, 右下葉, 中下葉切除例とし, 被覆は肋間筋を原則とした. 【結果】前期275例(右152, 左123), 瘻発生は5例(1.81%)であった. その内訳は, 右全2例, 右中下1例, 術前放治右上1例で右側発生率は2.6%. また, 左全摘が1例あり, 左側発生率は0.8%. 次に後期の344例(右206, 左138)では, 瘻発生は5例(1.45%)であった. その内訳は右全2例, 右上と下が各1例と右側発生率は1.9%. そして左全摘が1例であり, 左側発生率は0.7%. 被覆対象に設定した群間のみを比較すると, 前期4/78(5.13%), 後期3/109(2.75%), p=0.45(Fisher直接法)と統計学的な有意差は無かった. 【結語】被覆により瘻発生率が低下したが, 統計学的な有意差は無く, 我々が設定した対象全例に被覆が必要かどうかは更なる検討が必要である. |
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ISSN: | 0287-2137 |