6ヵ月で急速に増大したGastrointestinal stromal tumor(GIST)の1例

「要旨」:症例は65歳, 女性. 約10年前より肝硬変症(HCV)・食道静脈瘤と診断され, 前医で定期的に内視鏡検査を受けていた. 平成13年9月までの内視鏡では, 胃内に明らかな病変は認められなかった. 平成14年4月になり心窩部痛が出現したため上部消化管内視鏡検査を施行し, 下部食道静脈瘤と噴門部に深い潰瘍を伴う隆起性病変が認められ当科を紹介された. 超音波内視鏡および生検よりGISTと診断し, 胃全摘・脾摘を施行した. 腫瘍径は8×6cmで, 病理組織学的にGIST, uncommitted typeと診断された. リンパ節転移は陰性であった. GISTと診断されるまでの6ヵ月で急速に増...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 63; no. 2; pp. 64 - 68
Main Authors 円谷美也子, 佐々木欣郎, 宮地和人, 大塚吉郎, 萩原信悟, 下田渉, 金子広美, 砂川正勝, 池口祥一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 25.11.2003
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ISSN1348-9844

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Summary:「要旨」:症例は65歳, 女性. 約10年前より肝硬変症(HCV)・食道静脈瘤と診断され, 前医で定期的に内視鏡検査を受けていた. 平成13年9月までの内視鏡では, 胃内に明らかな病変は認められなかった. 平成14年4月になり心窩部痛が出現したため上部消化管内視鏡検査を施行し, 下部食道静脈瘤と噴門部に深い潰瘍を伴う隆起性病変が認められ当科を紹介された. 超音波内視鏡および生検よりGISTと診断し, 胃全摘・脾摘を施行した. 腫瘍径は8×6cmで, 病理組織学的にGIST, uncommitted typeと診断された. リンパ節転移は陰性であった. GISTと診断されるまでの6ヵ月で急速に増大した1例を経験したので報告する. 「はじめに」Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の概念が広く普及した現在, 臨床的にもGISTの症例に遭遇する機会も増加し, その報告も多い. しかしながら, その発生時期や発育速度が推定可能な報告は少ない. 今回我々は定期的な内視鏡検査で経過観察中に, 6ヵ月で急速に発育増大したと思われるGISTの1例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 「症例」患者:65歳, 女性. 主訴:心窩部痛. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:肝硬変症(HCV), 糖尿病. 現病歴:約10年前より肝硬変症, 食道静脈瘤と診断され, 前医で定期的に上部消化管内視鏡検査を受けていた.
ISSN:1348-9844