括約筋間直腸切除術 (ISR) 後の便失禁関連皮膚障害に対するスキンケア - ストーマ閉鎖術前からの肛門周囲への予防的保湿剤塗布の有用性

「要旨」【目的】括約筋間直腸切除術 (ISR) 後の一時的ストーマ閉鎖後に, 便失禁や頻回便のために肛門周囲皮膚障害を起こすことが多い. 本研究の目的は, この便失禁関連皮膚炎 (IAD) に対して, ストーマ閉鎖前から肛門周囲に保湿剤を塗布指導する予防的スキンケアの有用性を検討することである. 【方法】ISR後に一時的ストーマ閉鎖を行った患者を対象に, 2016~2018年に術前から肛門周囲に保湿剤を塗布する予防的スキンケアを実施した患者 (介入群) と2013~2014年に予防的スキンケアをしなかった患者 (非介入群) の間で, 術後7日目と1ヵ月目の便失禁関連皮膚障害の有無と程度を後方視...

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Published in日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 Vol. 37; no. 2; pp. 26 - 34
Main Authors 甲斐由美, 横田香織, 後藤万記子, 山田一隆, 高野正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 01.06.2021
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ISSN1882-0115

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Summary:「要旨」【目的】括約筋間直腸切除術 (ISR) 後の一時的ストーマ閉鎖後に, 便失禁や頻回便のために肛門周囲皮膚障害を起こすことが多い. 本研究の目的は, この便失禁関連皮膚炎 (IAD) に対して, ストーマ閉鎖前から肛門周囲に保湿剤を塗布指導する予防的スキンケアの有用性を検討することである. 【方法】ISR後に一時的ストーマ閉鎖を行った患者を対象に, 2016~2018年に術前から肛門周囲に保湿剤を塗布する予防的スキンケアを実施した患者 (介入群) と2013~2014年に予防的スキンケアをしなかった患者 (非介入群) の間で, 術後7日目と1ヵ月目の便失禁関連皮膚障害の有無と程度を後方視的に比較検討した. 【結果】介入群は16名で, 非介入群は11名であった. 介入群と非介入群のIAD発生率は各々, 術後7日目は12.5%と63.6% (P=0.012) , 1ヵ月目は0%と54.5% (P=0.002) であり, 術後7日目も1ヵ月目も介入群で有意に低かった. 【結論】ISR後のIADに対する予防的スキンケアは有用と考えられる.
ISSN:1882-0115