HNPCCの臨床(大腸)

遺伝性疾患であるHNPCCによる大腸癌の臨床的特徴について解説した. HNPCCにおける大腸癌は, 発症年齢が若い, 多発大腸癌が多い, 右側大腸癌が多い, 予後が比較的良い, 抗癌剤が効きにくい可能性がある, などの特徴がある. 外科的治療では, 予防的大腸摘除や大腸癌手術時の広範囲摘除の有用性は明らかとなっていない. 大腸発癌予防のため, これまでの疫学的研究で得られた知見を紹介することは良いと考えるが有効と考えられる化学予防剤はまだ見つかっていない. 大腸癌の早期発見のためには年に1回の大腸内視鏡検査が推奨される. 「I. 大腸癌好発疾患について」 一般集団より大腸癌の発生が高頻度な疾患...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 9; no. 2; pp. 61 - 63
Main Author 石川秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 15.05.2009
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ISSN1346-1052

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Summary:遺伝性疾患であるHNPCCによる大腸癌の臨床的特徴について解説した. HNPCCにおける大腸癌は, 発症年齢が若い, 多発大腸癌が多い, 右側大腸癌が多い, 予後が比較的良い, 抗癌剤が効きにくい可能性がある, などの特徴がある. 外科的治療では, 予防的大腸摘除や大腸癌手術時の広範囲摘除の有用性は明らかとなっていない. 大腸発癌予防のため, これまでの疫学的研究で得られた知見を紹介することは良いと考えるが有効と考えられる化学予防剤はまだ見つかっていない. 大腸癌の早期発見のためには年に1回の大腸内視鏡検査が推奨される. 「I. 大腸癌好発疾患について」 一般集団より大腸癌の発生が高頻度な疾患として, 遺伝性疾患の消化管ポリポーシスや遺伝性非ポリポーシス(hereditary non-polyposis colorectal cancer;HNPCC), 炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎などがあり, 肥満や飲酒, 喫煙などの生活習慣病の関係も指摘されている.
ISSN:1346-1052