鈍的外傷による気管損傷非手術例と非外傷性縦隔気腫5例の比較検討

最近2年間に経験した縦隔気腫の内特発性4例, 気管支喘息による症候性1例, 鈍的外力による気管損傷からの1例について比較検討した. 特発性は13~37歳男3例, 女1例で, 最高体温が38℃以上の2例はCRPも陽性で他の2例には無い息苦しさも訴えた. 特発性の1例で発症時左肩痛を訴えたが肺に原因があるとする説に合致した. 6例中気胸は症候性の1例にのみ合併し入院翌日に判明した. 症候性では原因が解決するまで入院加療が必須と考えた. 気管損傷例は10歳男で自転車で転倒後血痰を一度認め皮下気腫にて翌日当科へ紹介された. 薄切CTにて頚胸移行部気管膜様部右側端に断裂を認めたが保存的に加療第10病日の...

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Published in気管支学 Vol. 15; no. 2; pp. 199 - 200
Main Authors 市橋匠, 呉哲彦, 家接健一, 小林弘明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 01.03.1993
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ISSN0287-2137

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Summary:最近2年間に経験した縦隔気腫の内特発性4例, 気管支喘息による症候性1例, 鈍的外力による気管損傷からの1例について比較検討した. 特発性は13~37歳男3例, 女1例で, 最高体温が38℃以上の2例はCRPも陽性で他の2例には無い息苦しさも訴えた. 特発性の1例で発症時左肩痛を訴えたが肺に原因があるとする説に合致した. 6例中気胸は症候性の1例にのみ合併し入院翌日に判明した. 症候性では原因が解決するまで入院加療が必須と考えた. 気管損傷例は10歳男で自転車で転倒後血痰を一度認め皮下気腫にて翌日当科へ紹介された. 薄切CTにて頚胸移行部気管膜様部右側端に断裂を認めたが保存的に加療第10病日の気管支鏡では同部に発赤不整を認めるもCTは正常化した. 血痰は他の5例にはなく血痰を伴う外傷性縦隔気腫のCTには医師も立会い気管損傷が疑われる部位は薄切とすべきである. 鈍的外力での気管損傷からの縦隔気腫が保存的に治癒した例は珍しい.
ISSN:0287-2137