血小板抽出抗原中のHLA抗原除去法の確立
I. 目的 一昨年の本学会に於て柴田らは, 抗血小板同種抗体の検索, 収集及び, 同定用パネルとして長期間, 安定して準備することが可能な血小板抽出抗原パネルを開発した. しかし, 血小板抽出抗原中には, HLA抗原が存在するという欠点があった. そこで今回, 我々は血小板抽出抗原中のHLA抗原の除去法を確立したので報告する. II. 方法 血小板抽出抗原パネルの作製は, 柴田らの方法に準じ, CPD採血した血液より遠心分離で得られた血小板沈渣を生理食塩水に再浮遊させ, 4℃で3日間保存後, 上清を分離, これを抽出抗原とし, 至適濃度を決めて, 96well U型マイクロプレート(Nunk社...
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          | Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 346 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本輸血学会
    
        01.05.1990
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| ISSN | 0546-1448 | 
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| Summary: | I. 目的 一昨年の本学会に於て柴田らは, 抗血小板同種抗体の検索, 収集及び, 同定用パネルとして長期間, 安定して準備することが可能な血小板抽出抗原パネルを開発した. しかし, 血小板抽出抗原中には, HLA抗原が存在するという欠点があった. そこで今回, 我々は血小板抽出抗原中のHLA抗原の除去法を確立したので報告する. II. 方法 血小板抽出抗原パネルの作製は, 柴田らの方法に準じ, CPD採血した血液より遠心分離で得られた血小板沈渣を生理食塩水に再浮遊させ, 4℃で3日間保存後, 上清を分離, これを抽出抗原とし, 至適濃度を決めて, 96well U型マイクロプレート(Nunk社:Maxisorp)の各wellに25μlずつ滴下し, 4℃に一晩保存し, ラベリングを行なった. HLA抗原除去法は, (1)抽出抗原の上清を捨て, 各wellに0.8Mクロロキン50μlずつ滴下し, 強くミキシング. (2)室温で1時間, インキュベート. (3)0.05%Tween20-PBSで10回洗浄. (4)0.05%Tween20-PBSを各wellに25μlずつ滴下し, 抗体を室温で1時間反応させた. 抗体は, 我々が作製した血小板モノクローナル抗体Yu3-51-16(特異性:Gp IIb/IIIa)及び, HLAモノクローナル抗体TOK39-1(特異性:HLAクラスIモノモルフィック)を, HLA同種抗体として抗HLA-All+A31+Aw33, 血小板同種抗体として抗Yuk^b , 抗Nak^a , 抗Bak^a を用いた. III. 結果 血小板モノクローナル抗体Yu3-51-16及び, 血小板同種抗体抗Yuk^b , 抗Nak^a , 抗Bak^a の反応性は, クロロキン未処理と処理パネルに変化は認められなかったが, HLAモノクローナル抗体TOK39-1及び, HLA同種抗体抗HLA-A11+A31+Aw33の反応は, クロロキン処理後, 消失した. IV. 結語 血小板抽出抗原をクロロキン処理することにより, HLA抗原を除去し, 血小板同種抗体のみを検出する方法を確立した. | 
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| ISSN: | 0546-1448 |