輸血検査の自動化に関する検討
【目的】 輸血検査は, 検査過誤がすぐに重篤な副作用に直結する可能性があるため, 事務的過誤などの human error を常に最小にする努力や検査の標準化などが要求される. その対策として輸血検査の自動化に大きな期待が集まっている. 当輸血部でも自動分注機と自動判定機を用い, 輸血検査の半自動化の可能性を検討した. 【方法】 (1)検体は, 当院で末梢血液検査を提出された患者66人分の血球, 血漿を使用した. ほかに, 血液センターから供与された赤血球MAPの血球と, 同ロットの血漿成分を12人分使用した. (2)半自動化法は, EDTA 採血された2ml検体を高速精密分注装置(テカン社)...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 200 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】 輸血検査は, 検査過誤がすぐに重篤な副作用に直結する可能性があるため, 事務的過誤などの human error を常に最小にする努力や検査の標準化などが要求される. その対策として輸血検査の自動化に大きな期待が集まっている. 当輸血部でも自動分注機と自動判定機を用い, 輸血検査の半自動化の可能性を検討した. 【方法】 (1)検体は, 当院で末梢血液検査を提出された患者66人分の血球, 血漿を使用した. ほかに, 血液センターから供与された赤血球MAPの血球と, 同ロットの血漿成分を12人分使用した. (2)半自動化法は, EDTA 採血された2ml検体を高速精密分注装置(テカン社)に1回に約20人分設置し, オーソ社のバイオビュー抗A 抗B 抗Dカセットに分注した. 血球は検体の底から吸引したものを自動希釈して分注し, 血漿はその検体の上部から吸引し自動分注した. 検体とカセットはすべてバーコード入力し分注状況をコンピューター入力した. 遠心および加温はオーソのマニュアルに従って行い, Bio Vue rcader による自動判定と目視判定を行った. (3)用手法では従来どおり試験管に手で分注し, 通常の試験管法で血液型判定を行った. 【結果】78件中6件が不規則性抗体の存在のため自動判定でおもてうら試験不一致であった. 72件のABO式及びRh-D式血液型判定では reader のみの自動判定で63件(87.5%)目視判定で72件(100%)が判定され, 判定された結果はすべて試験管法と一致していた. 【考察】 自動分注装置の使用は従来のように検査中に試験管に検体番号の記載をするなどの人為的作業がなくなるので human error の可能性を減少させる. 半自動化法では操作は機械的であり熟練した技術は不要であるため, 検査の標準化が可能で時間外の輸血検査に適している. また, 抗体スクリーニングについても神奈川県赤十字血液センターの協力で, 不規則性抗体陽性廃棄血について現在半自動化法による検出感度を検討中であり, 併せて報告する. |
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ISSN: | 0546-1448 |