救急救命センターの血液使用状況と問題点

【目的】日大板橋病院は平成3年11月に30床の救命救急センターを開設し, 第三次救急医療にあたっている. 開設に伴い平成4年1月末より輸血業務の当直制を導入しているが, 救命救急センターをかかえる大学病院輸血室にとっては救急医療で輪血される血液の使用状況を知ることは, 今後の輸血業務の対応を考える上で重要である. 【対象と方法】当院の救命センターで取扱われる患者数と, 輸血される血液使用単位数を製剤別に検討した. 【結果】患者数は年間1200名, 基礎疾患はCCU, DOA, 脳血管傷害, 外傷の順に多く, 脳出血外傷, 骨折, 消化管出血など外科的処置を必要とするものは約3割に認められる....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 482
Main Authors 馬場眞澄, 神田靖男, 星野茂角, 川平宏, 並木浩信, 石野たい子, 阿部まを, 中沢幸子, 林成之, 大畑正昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】日大板橋病院は平成3年11月に30床の救命救急センターを開設し, 第三次救急医療にあたっている. 開設に伴い平成4年1月末より輸血業務の当直制を導入しているが, 救命救急センターをかかえる大学病院輸血室にとっては救急医療で輪血される血液の使用状況を知ることは, 今後の輸血業務の対応を考える上で重要である. 【対象と方法】当院の救命センターで取扱われる患者数と, 輸血される血液使用単位数を製剤別に検討した. 【結果】患者数は年間1200名, 基礎疾患はCCU, DOA, 脳血管傷害, 外傷の順に多く, 脳出血外傷, 骨折, 消化管出血など外科的処置を必要とするものは約3割に認められる. 救命センターでの血液使用単位数は年間9285単位. これは病院全体の輸血使用単位数の約15%を占めている. 月別で検討すると製剤の使用単位数には波があるが, 製剤別では保存血と新鮮血の全血が11.8%, 赤血球製剤が22.3%, 濃厚血小板が33.6%, 新鮮凍結血漿が31.5%であった. 開設当初には, 新鮮血が使われたが最近では保存血あるいは濃厚赤血球が使用されている. 濃厚血小板や新鮮凍結血漿は救命センター入院後に使用されている. 頻度は少ないがRh陰性血の緊急輸血や不規則抗体が存在する緊急患者も経験された. 【考案及び結論】救命救急センターでは血液の使用頻度は高く, その使用量も多い. 救命救急センターで使用される血液には予定使用の血液も含まれているが, 予想外に濃厚血小板や新鮮凍結血漿が多く, これらは濃厚赤血球との併用もあって今後, 適正な使用についての詳細な検討が必要であろう.
ISSN:0546-1448