Cis AB型の2家系について

1965年, 山口らによって発見されたCis AB型は, その後の疫学調査から, 徳島県にも多数見いだされている. 我々は本院で2家系13名のCis AB型を経験したので報告する. この13名の内訳はA_2 B_3 が8名と最も多く, 次いでA_1 B_3 3名, A_2 B2名で, 男女比は10:3であった. 表試験はいずれも抗A, 抗B血清との反応に差がみられ, 抗Hレクチンに強い反応を示した. 裏試験ではある種の抗Bや抗A_1 が認められ, 抗Bは37℃でも抗体活性を示したが, 抗A_1 では消失した. 被凝集価および吸収価は, 対照に比べ2管以上の差を認め, 特に抗B血清に対してこの傾...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 28; no. 4; p. 383
Main Authors 渡辺博文, 篠原紀美代, 河村満里, 斎藤史郎, 磯部淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.08.1982
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:1965年, 山口らによって発見されたCis AB型は, その後の疫学調査から, 徳島県にも多数見いだされている. 我々は本院で2家系13名のCis AB型を経験したので報告する. この13名の内訳はA_2 B_3 が8名と最も多く, 次いでA_1 B_3 3名, A_2 B2名で, 男女比は10:3であった. 表試験はいずれも抗A, 抗B血清との反応に差がみられ, 抗Hレクチンに強い反応を示した. 裏試験ではある種の抗Bや抗A_1 が認められ, 抗Bは37℃でも抗体活性を示したが, 抗A_1 では消失した. 被凝集価および吸収価は, 対照に比べ2管以上の差を認め, 特に抗B血清に対してこの傾向が著明であった. 吸着解離試験では解離液中に抗A, 抗Bが認められ, 前者はA型物質, 後者はB型物質により, いずれも中和された. 今回検索した症例のなかで, A_1 B_3 はA型と誤判定されやすく, 植物凝集素の併用が必要である. また家系調査はCis ABとTrars ABの判別に不可欠で, 可能なかぎり実施すべきことである.
ISSN:0546-1448