Automatic steppingを呈した頸髄症の1例

「症例」78歳の女性で主訴は歩行障害. 「現病歴」昭和59年に頸髄症に対し頸椎前方固定術を受け, 以降2本杖歩行可能であった. 平成9年8月頃より歩行が困難となり, 徐々に症状が進行したため, 平成11年7月, 当科紹介入院した. 「現症」歩行は不能で, 両手および両大腿より遠位の知覚障害および, 両上下肢の深部腱反射の亢進を示し, Babinski等の病的反射も陽性で, 日整会頸髄症判定基準(JOA score)は8/17点であった. 不随意に, 股関節, 膝, 足関節の屈曲(三重屈曲現象)がリズミカルに両側交互に出現するautomatic steppingを呈していた. 歩行障害はこの反射...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1040
Main Authors 川谷義行, 松田芳郎, 尾形直則, 山本晴康, 首藤貴, 飯本誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「症例」78歳の女性で主訴は歩行障害. 「現病歴」昭和59年に頸髄症に対し頸椎前方固定術を受け, 以降2本杖歩行可能であった. 平成9年8月頃より歩行が困難となり, 徐々に症状が進行したため, 平成11年7月, 当科紹介入院した. 「現症」歩行は不能で, 両手および両大腿より遠位の知覚障害および, 両上下肢の深部腱反射の亢進を示し, Babinski等の病的反射も陽性で, 日整会頸髄症判定基準(JOA score)は8/17点であった. 不随意に, 股関節, 膝, 足関節の屈曲(三重屈曲現象)がリズミカルに両側交互に出現するautomatic steppingを呈していた. 歩行障害はこの反射に主として起因し, 反射の出現による睡眠障害も訴えた. 「検査所見」両像上手術によるC3-4間の前方固定に加え, CO, 1,2が一塊となった頭蓋頸椎移行部の先天奇形を認め, C2/3レベルからC7レベルまで広範囲に脊柱管狭窄を呈していた. この反射中, 前脛骨筋, 下腿三頭筋, 大腿四頭筋の順にそれぞれ100ms遅れて筋収縮が生じていることが電気生理学的に観察され, polysynapticな反射であることが示唆された. 「治療および経過」頸椎椎弓形成術によりこの反射は著明に減少し, JOA scoreは11点に改善した. 「結語」1)Automatic steppingを呈する極めて稀な頸髄症の1例を報告した. 2)電気生理学的検査よりpolysynapticな反射であることが示された. 3)椎弓形成術を用いた脊柱管拡大術でこの反射が著明に減少した.
ISSN:0034-351X