一上肢の把握動作時の他側上肢運動ニューロンの興奮性に与える影響の検討

「目的」我々は一側の上肢で把握動作を行わせた際の, 他側の上肢で誘発されるH反射および経頭蓋磁気刺激にて誘発される磁気誘発電位(以下MEP)を用いて, 他側の上肢運動ニューロン興奮に与える影響について検討を行った. 「方法」反応時間課題を用い, waming signalの後ランダムに呈示された光によるsignalを合図に, 右上肢で把握動作を行わせた. 一方で把握動作開始前約150msecから開始後約200msecまでの間, ランダムに左上肢の正中神経を上腕部で電気刺激を行い, また一方で円形コイルで磁気刺激を行い, 左橈側手根屈筋(以下FCR), 左深指屈筋(以下FDP)に表面電極を設置し...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; pp. 776 - 777
Main Authors 小宗陽子, 正門由久, 樋口佳子, 辻哲也, 長谷公隆, 木村彰男, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」我々は一側の上肢で把握動作を行わせた際の, 他側の上肢で誘発されるH反射および経頭蓋磁気刺激にて誘発される磁気誘発電位(以下MEP)を用いて, 他側の上肢運動ニューロン興奮に与える影響について検討を行った. 「方法」反応時間課題を用い, waming signalの後ランダムに呈示された光によるsignalを合図に, 右上肢で把握動作を行わせた. 一方で把握動作開始前約150msecから開始後約200msecまでの間, ランダムに左上肢の正中神経を上腕部で電気刺激を行い, また一方で円形コイルで磁気刺激を行い, 左橈側手根屈筋(以下FCR), 左深指屈筋(以下FDP)に表面電極を設置し表面筋電を記録, 誘発されたH反射の筋電量, MEPの筋電量を経時的に解析を行った. 「結果」左FCR, 左FDPではH反射の筋電量, MEPの筋電量は右上肢の把握運動前はコントロールと有意な差は得られなかったが, H反射, MEPともにそのサイズは, 運動開始後10~20msec後より増加し, その後徐々に増加していた. H反射, MEPと比較し, その誘発された筋電の増加のタイミングには大きな差は得られなかった. 「考察」同じ条件での随意運動を行うことで, H反射, MEPを誘発, 解析し, 一側上肢の運動によって, 他側上肢の脊髄レベルおよび大脳皮質レベルでの興奮性の変化の検討を試みた. 今回は刺激による増強効果のタイミングに両者で差は認めなかったが, 今後そのタイミングを詳細に解析し, 脳卒中患者等におこる連合反応の病態生理について検討を加えたい.
ISSN:0034-351X