大動脈および末梢血管疾患に対するステント治療

本日は閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)に対するステント治療についてお話したいと思います. わが国では, 末梢閉塞性動脈疾患の疾病構造は近年大きく変化し, 1970年代には半数以上を占めて慢性動脈閉塞症の代表的な疾患であった閉塞性血栓血管炎, いわゆるBuerger病は激減し, 現在ではASOによるものが90%以上を占めるようになってきました. Buerger病は四肢末梢の前腕や下腿の主幹動脈が主な病変部位であることや, 病理組織学的に血管全層の炎症性疾患であることから, 血管内治療の対象となることは稀でしたが, 腸骨大腿動脈領域に閉塞性病変を有...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 41; no. 6; pp. 726 - 728
Main Author 重松宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.06.2009
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

More Information
Summary:本日は閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)に対するステント治療についてお話したいと思います. わが国では, 末梢閉塞性動脈疾患の疾病構造は近年大きく変化し, 1970年代には半数以上を占めて慢性動脈閉塞症の代表的な疾患であった閉塞性血栓血管炎, いわゆるBuerger病は激減し, 現在ではASOによるものが90%以上を占めるようになってきました. Buerger病は四肢末梢の前腕や下腿の主幹動脈が主な病変部位であることや, 病理組織学的に血管全層の炎症性疾患であることから, 血管内治療の対象となることは稀でしたが, 腸骨大腿動脈領域に閉塞性病変を有することが多く, 内膜肥厚を主な病態とするASOの急速な増加とともに, 血管内治療の良い対象となる病変が急増し, 治療法の1つとして急速に広がってきています. DotterとJudkinsが1964年に浅大腿動脈閉塞に対して経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty;PTA)を行ってから40年, GruntzigとHopffがバルーンカテーテルを1974年に導入してから30年が経過しましたが, さらに近年は, アテレクトミーカテーテルやステントの導入, 徐放性薬剤の付与などの新たな工夫が行われており, 動脈硬化性閉塞性病変に対してfirst choiceとして行われる治療手技として確固たる地位を占めてきている一方, 長期の開存成績も得られるようになってきたため, 観血的血行再建を含めた治療法の選択肢の1つとしての位置も明らかになってきました.
ISSN:0586-4488