4回の先行虚血はIschemic Preconditioningの心筋保護作用を増強する
Ischemic Preconditioning (IP)による心筋保護作用は, ウサギでは, 5分間の先行虚血を1回行うことで惹起されると言われているが, この先行虚血の時間や回数の変化が心筋保護作用にどのような影響を及ぼすかははっきりしていない. そこで我々は先行虚血の回数の増加がその後の虚血・再灌流障害にどのような影響を及ぼすかをウサギ灌流心モデルで検討した. 方法:ペントバルビタール麻酔下に人工呼吸を行ったウサギの心臓をすばやく取り出し, ランゲンドルフ装置に懸け, 酸素化されたクレブス・ヘンゼライト液で灌流した. 心筋虚血は, 左冠動脈の枝にナイロン糸をかけそれを結紮することで作成し...
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Published in | 蘇生 Vol. 17; no. 3; p. 182 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.09.1998
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | Ischemic Preconditioning (IP)による心筋保護作用は, ウサギでは, 5分間の先行虚血を1回行うことで惹起されると言われているが, この先行虚血の時間や回数の変化が心筋保護作用にどのような影響を及ぼすかははっきりしていない. そこで我々は先行虚血の回数の増加がその後の虚血・再灌流障害にどのような影響を及ぼすかをウサギ灌流心モデルで検討した. 方法:ペントバルビタール麻酔下に人工呼吸を行ったウサギの心臓をすばやく取り出し, ランゲンドルフ装置に懸け, 酸素化されたクレブス・ヘンゼライト液で灌流した. 心筋虚血は, 左冠動脈の枝にナイロン糸をかけそれを結紮することで作成した. 先行虚血は1回5分間とし, 5分間の再灌流をはさんで, 1~4回繰り返した. 先行虚血を行わなかったIP0群と先行虚血を1, 2, 4回おこなったIP1群, IP2群, IP4群の4群に分けた. 先行虚血終了10分後から, 45分間の虚血と120分間の再灌流を行い実験を終了した. 実験終了後, 心筋梗塞域はTTC染色で, 虚血領域はZinc particleにより測定し, 結果はI/R比(心筋梗塞域/虚血領域 ; %)で表した. 結果:先行虚血の回数が増加するにつれ, I/R比は減少した(IP0, 45.6±9.1% ; IP1, 19.1±4.7% ; IP2, 11.8±4.6% ; IP4, 2.5±0.6% ; mean±SE). IPを行った群(IP1, IP2, IP4)は, IPを行わなかった群(IP0)と比較してI/R比は有意に減少した. I/R比は, IP1とIP2の2群間では有為な差は認めなかったが, IP4群はIP1, IP2群と比較し有意に減少した. 結論:5分間の先行虚血を1回行うことで, 心筋梗塞減少作用は認められたが, 4回繰り返す方が, より強力な作用を認めた. ウサギではIschemic Preconditioningによる心筋保護作用は先行虚血の回数が多いほど強力である. |
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ISSN: | 0288-4348 |