(3)家族性大腸腺腫症および多発性大腸ポリープ患者におけるSCアッセイを用いたAPC遺伝子診断

我々は酵母を用いたAPC遺伝子のSCアッセイを確立し, 東北大学腫瘍内科への紹介患者に対し, 遺伝子診断およびカウンセリングを行ってきた. 2001年以降は16名の患者の診断を行った. 16名のうち発端者が14名, 変異検出後の家系内の保因者診断が2名であった. 14名の発端者のうち100個以上のポリープを認めた症例は9名, 明らかな家族歴のあるものは4名であった. APC遺伝子にヘテロ接合性の胚細胞性変異を認めたものは5例であった. 変異症例はいずれも100個以上のポリープがあったが, 家族歴のあるものは2例だけであった. 保因者診断では2例とも発端者の変異を有していなかったためにカウンセリ...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 8; no. 1; p. 33
Main Authors 増子さつき, 酒寄真人, 高橋雅信, 下平秀樹, 石岡千加史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 15.01.2008
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ISSN1346-1052

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Summary:我々は酵母を用いたAPC遺伝子のSCアッセイを確立し, 東北大学腫瘍内科への紹介患者に対し, 遺伝子診断およびカウンセリングを行ってきた. 2001年以降は16名の患者の診断を行った. 16名のうち発端者が14名, 変異検出後の家系内の保因者診断が2名であった. 14名の発端者のうち100個以上のポリープを認めた症例は9名, 明らかな家族歴のあるものは4名であった. APC遺伝子にヘテロ接合性の胚細胞性変異を認めたものは5例であった. 変異症例はいずれも100個以上のポリープがあったが, 家族歴のあるものは2例だけであった. 保因者診断では2例とも発端者の変異を有していなかったためにカウンセリングは円滑であったが, APC遺伝子変異症例であっても家族の保因者診断の同意までに至らないことがあった.
ISSN:1346-1052