抗D免疫グロブリン製剤投与の適応に関する全国調査
わが国で抗D免疫グロブリン製剤(RhIg)が使用されるようになってから17年になり, Rh不適合妊娠による母体感作は著しく減少したと考えられるが, いまだに少数ではあるが感作例がある. 本剤の適応にはいくらかの変遷があったが, 1988年現在におけるわが国の産科主要施設の投与基準を調査した. 対象ならびに方法:全国の主要産科施設415施設に調査表を送付し, 204施設(49.2%)より回答をえた. 調査結果:(1)分娩後72時間以内の投与:母体の抗D抗体陰性, 新生児Rh陽性で直接クームス試験(DAT)陰性であれば, 125施設(61.3%)がD^u 陽性を含む全例に投与していたが, 53施設...
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| Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 369 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本輸血学会
01.05.1990
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0546-1448 |
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| Summary: | わが国で抗D免疫グロブリン製剤(RhIg)が使用されるようになってから17年になり, Rh不適合妊娠による母体感作は著しく減少したと考えられるが, いまだに少数ではあるが感作例がある. 本剤の適応にはいくらかの変遷があったが, 1988年現在におけるわが国の産科主要施設の投与基準を調査した. 対象ならびに方法:全国の主要産科施設415施設に調査表を送付し, 204施設(49.2%)より回答をえた. 調査結果:(1)分娩後72時間以内の投与:母体の抗D抗体陰性, 新生児Rh陽性で直接クームス試験(DAT)陰性であれば, 125施設(61.3%)がD^u 陽性を含む全例に投与していたが, 53施設はD^u 陽性を除外していた. 2施設は母児ABO適合例のみを対象としていた. 34施設は今後挙児を希望しないものには投与していない. (2)母体抗D抗体陰性で新生児DAT陽性の場合:124施設(60.8%)は投与していない. 児赤血球の抗体解離試験で抗D抗体陰性なら投与しているのは63施設(30.9%). (3)妊娠中の投与:10施設が妊娠28~30週で投与していた. 妊娠中の投与を考慮中が29施設. (4)流産, 中絶時の投与:174施設(85.3%)において投与されているが, 一部の施設では既にRh陰性と判明しているもののみを対象としており, 流産, 中絶の場合には全例にRh血液型が検査されているとは限らないことが示唆された. (5)外妊時の投与:160施設(78.4%)で投与されていた. (6)妊娠中期羊水穿刺時の投与:羊水穿刺を実施している131施設中54施設(41.2%)で投与されていた. 考察:Rh不適合妊娠による母体感作の防止には, 分娩時のRhIg投与のみでは不十分である. わが国におけるRh陰性妊婦の感作を一層減少させるためには, 流産, 中絶, 外妊時のRhIg投与を徹底させるとともに, 妊娠中の投与を普及させることが重要と考えられる. |
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| ISSN: | 0546-1448 |