鞭打ち症と良導絡治療
頸や肩の凝りや痛みを訴えて良導絡治療を依頼する患者は良導絡治療全体の中で高位を示す. また, これらの症状改善に良導絡治療が有効であった報告が過去多くなされている. 今回は, 交通事故後遺症で頸の痛みが良導絡治療で改善した症例の報告です. 【症例】 氏名:M・H♂26歳 主訴:左頸部痛(医師診断名:外傷性頚椎捻挫/Whip Lash Injury) 初診日:1998年9月12日 病歴:1998年9月12日午後8時頃, 乗用車運転中追突される. 翌朝左頸が痛く, 近所の整形外科医を受診. レントゲン所見では特に異常は, 見られないが, 主訴や受傷状況から「外傷性頚椎捻挫」と診断された. 牽引,...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 27; no. 4; p. 37 | 
|---|---|
| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本良導絡神経学会
    
        01.09.1999
     | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0286-1631 | 
Cover
| Summary: | 頸や肩の凝りや痛みを訴えて良導絡治療を依頼する患者は良導絡治療全体の中で高位を示す. また, これらの症状改善に良導絡治療が有効であった報告が過去多くなされている. 今回は, 交通事故後遺症で頸の痛みが良導絡治療で改善した症例の報告です. 【症例】 氏名:M・H♂26歳 主訴:左頸部痛(医師診断名:外傷性頚椎捻挫/Whip Lash Injury) 初診日:1998年9月12日 病歴:1998年9月12日午後8時頃, 乗用車運転中追突される. 翌朝左頸が痛く, 近所の整形外科医を受診. レントゲン所見では特に異常は, 見られないが, 主訴や受傷状況から「外傷性頚椎捻挫」と診断された. 牽引, 投薬, 湿布などの加療が行われたが変化がなく友人の紹介で来院した. 初診時所見:左頸部の痛みが主訴で, 頸部の後屈, 左回旋, 左側屈時に痛みがあり可動制限もみられる. 後屈時及び左回旋時に特に痛みが増悪し, 左胸鎖乳突筋の緊張も著名である. また, スパーリングテスト左陽性, アドソンテスト左減弱, モーリーチスト左+2の所見を得た. 治療方法及び経過:疼痛改善を目的に置針及び低周波通電, スーパーパルスを行った. 置針は, 1寸3分3番針で曲池(H_6 11)・合谷(H_6 4)に15分間行った. 低周波通電は, 1寸3分3番針で天柱(F_4 59)一風池(F_5 30), 肩井(H_5 17)一肩外兪(H_4 14)に1Hz, 15分間行った. スーパーパルスは, 低周波通電部位に, 低周波通電終了後に行った. その他, 全身調整として基本調整3を使用した. 都合11回の治療を行った. 症状改善は, 早期に見られたが, 再発防止のために11回という長期に亘った. 良導絡チャートの観察:受傷1ヵ月未満の鞭打ち症患者の良導絡チャートは, ばらつきが大きい傾向にあります. 初診時の良導絡チャートの平均値は37μA(H=47μA/F=27μA)で, 11診目の平均値は53μA(H=44μA/F=61μA)であった. 初診時と11診目ではH系でそれほどの差はみられなかったのに比べ, F系は20μA以上の変化があり, 初診時と11診目では, H系とF系の高低が逆転した. 左右差(10μA以上差があるもの)は, 8良導絡に見られました. 左低位がH5(左20右100/差80), F2(左5/右70/差65), H4(左10/右65/差5), H6(左20/右55/差35), H1(左50/右85/差35), H2(左35/右55/差20)で, 右低位は, F4(左30/右3/差27), F6(左40/右20/差20)であった. 11診目のチャートでは, H5(左15/右55/差40), F2(左83/右75/差8), H4(左20/右38/差18)に差の減少が見られた. また, F5の左右差(初診時:17-222/11診目:21-57)が出現したことは興味あることである. 【おわりに】 鞭打ち症の1例報告ですが, 症状消失とともに, 良導絡チャートの左右差の減少が見られた. このことは, 良導絡チャートが病態把握に役立つのみでなく, 良導絡治療が有効的であることを示唆していると考えられる. | 
|---|---|
| ISSN: | 0286-1631 |