選択的指神経伝導速度測定の試み

新しい電極(TS電極)を用いて選択的な指神経伝導速度測定を試み, また指神経障害例についても検討した. 対象は, 健常なボランティア27名27手(男14名, 女13名:平均年齢32.3歳)とした. また, 49歳, 女性の右示指燒側指神経障害例1例についても測定した. 刺激電極であるTS電極は直径2mm, 高さ2mmの突起を持ち, 通常の知覚神経伝導速度測定の場合とは逆に, 中枢側を陽極, 末梢側を陰極とした. 記録電極は, 皿電極にて手関節部の正中神経上に設置し順行性に20回加算を行った. TS電極にて指神経を刺激すると2峰性の波形が得られた. 中指燒側, 尺側刺激では, 第1峰の起始部での...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 11; p. 768
Main Authors 千田益生, 木下篤, 長島弘明, 寺井祐司, 井上一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:新しい電極(TS電極)を用いて選択的な指神経伝導速度測定を試み, また指神経障害例についても検討した. 対象は, 健常なボランティア27名27手(男14名, 女13名:平均年齢32.3歳)とした. また, 49歳, 女性の右示指燒側指神経障害例1例についても測定した. 刺激電極であるTS電極は直径2mm, 高さ2mmの突起を持ち, 通常の知覚神経伝導速度測定の場合とは逆に, 中枢側を陽極, 末梢側を陰極とした. 記録電極は, 皿電極にて手関節部の正中神経上に設置し順行性に20回加算を行った. TS電極にて指神経を刺激すると2峰性の波形が得られた. 中指燒側, 尺側刺激では, 第1峰の起始部での伝導速度は65.8m/s, 66.3m/sであった. 環指燒側刺激では第2峰は存在せず第1峰の伝導速度は63.0m/sであり, 環指尺側刺激では, 伝導速度は45.4m/sと遅く2峰性の場合の第2峰のみが得られていた. 中指燒側の指神経ブロック後の波形の変化では, 2峰性を示していた波形はしだいに第1峰の振幅が低下し消失したが, 320分後にはブロック前とほぼ同様な2峰性となった. 刺激電極と記録電極の距離を変化させても2峰性の波形自体に変化はなく, 伝導速度もほぼ変化なかった. 49歳, 女性, 右示指燒側指神経障害例では, 右示指尺側指神経刺激の第1峰ははっきり認めたが, 第2峰は振幅低下を認め, 右示指燒側刺激においては, 第1峰が認められず第2峰も振幅低下していた.
ISSN:0034-351X