HTLV-1抗体陽性献血者への通知状況について

「目的」 昭和61年から始まったHTLV-1抗体検査の結果は, 献血者へ通知していなかった. 平成10年7月に厚生省の中央薬事審議会で出された「希望する人には通知する」という方針を受けて, 九州・沖縄の各赤十字血液センターでは全国に先駆け, 平成11年4月よりHTLV-1抗体陽性献血者へ検査結果の通知を開始した. そこで当センターの通知状況及び通知後のフォローについて報告する. 「方法」 献血申込時にHTLV-1抗体について説明したリーフレットを全献血者へ配布し, 理解を得た後, 通知希望の有無を確認した. 通知は, PA法によるHTLV-1抗体検査陽性で, 更にIF法, EIA法共に陽性,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 289
Main Authors 石井恵美, 朝倉健, 徳永和夫, 藤原弘一, 開原実典, 前田義章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:「目的」 昭和61年から始まったHTLV-1抗体検査の結果は, 献血者へ通知していなかった. 平成10年7月に厚生省の中央薬事審議会で出された「希望する人には通知する」という方針を受けて, 九州・沖縄の各赤十字血液センターでは全国に先駆け, 平成11年4月よりHTLV-1抗体陽性献血者へ検査結果の通知を開始した. そこで当センターの通知状況及び通知後のフォローについて報告する. 「方法」 献血申込時にHTLV-1抗体について説明したリーフレットを全献血者へ配布し, 理解を得た後, 通知希望の有無を確認した. 通知は, PA法によるHTLV-1抗体検査陽性で, 更にIF法, EIA法共に陽性, かつ通知を希望した献血者が対象である. 当センターでは通知を受けた献血者に対応するため, 相談窓口(フリーダイアルでの専用電話)を設置して, 研修を受けた職員3名が電話により応対した. 「結果」 平成11年度の献血者数85,678(男性50,270・女性35,408)名中, PA法陽性者は795名(0.93%), 3法陽性者は681名(0.79%), 通知者は661名(0.77%)であった. 通知者の性別による内訳は, 男性325名(0.38%)・女性336名(0.39%)であった. 相談窓口への電話件数は220(男性59・女性161)件で通知数に対して33.3%であった. 相談内容としては, 感染経路について, 受診の必要性や治療法について, 日常生活での注意点, 関連疾患について等が多かった. 多くの相談者が不安な状態で電話をかけてきたが, 相談後はほとんどの方が不安を解消することができたように思われた. 「結論」 当センターでは, 献血者の0.77%(661名)に通知をした. そのうち1/3の献血者から問い合わせがあったが, 予想されたほどの混乱もなく通知を実施することができた.
ISSN:0546-1448