慢性C型肝炎の治療中, 小腸穿孔により発見された小腸悪性リンパ腫の一例

【症例】38歳男性. 【経過】平成6年, 健康診断で肝機能障害を指摘され, 他院にてC型肝炎の診断で通院加療を受けていた. 平成10年1月28日インターフェロン(IFN)療法目的に当科紹介受診. HCV serotype2, HCV RNA 0.64meq/ml, 肝生検の組織像は慢性活動性肝炎(A1 F1)であった. 3月2日よりIFNβ600万単位連日投与を開始した. 3月10日右下腹部痛が出現. 強い圧痛, 腹膜刺激症状を認め, 腹膜炎が疑われた. 緊急開腹手術を施行, 回腸末端部に空腸の癒着をともなう鶏卵大の腫瘤を認め, 回盲部切除術をおこなった. 病理組織学的にnon Hodgiki...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 1; p. 75
Main Authors 蜂巣陽子, 壁谷建志, 長島真美子, 石川武志, 湯浅圭一郎, 山田昇司, 樋口清一, 根岸哲夫, 福山展, 塩島正之, 内田信之, 笹本肇, 山本英輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2001
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ISSN1343-2826

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Summary:【症例】38歳男性. 【経過】平成6年, 健康診断で肝機能障害を指摘され, 他院にてC型肝炎の診断で通院加療を受けていた. 平成10年1月28日インターフェロン(IFN)療法目的に当科紹介受診. HCV serotype2, HCV RNA 0.64meq/ml, 肝生検の組織像は慢性活動性肝炎(A1 F1)であった. 3月2日よりIFNβ600万単位連日投与を開始した. 3月10日右下腹部痛が出現. 強い圧痛, 腹膜刺激症状を認め, 腹膜炎が疑われた. 緊急開腹手術を施行, 回腸末端部に空腸の癒着をともなう鶏卵大の腫瘤を認め, 回盲部切除術をおこなった. 病理組織学的にnon Hodgikin lymphoma(NHL), diffuse large B cell typeと診断された, 術後経過は良好で, 4月8日より化学療法(CHOP4クール)をおこなった. 再発は認めず, 外来通院となっている. 【考案】節外性NHLの中で腸管原発NHLの頻度は高い. 特に小腸原発悪性リンパ腫は, 腸閉塞や穿孔で発症し, 開腹術後に診断されることが多く, また手術未施行例では, 化学療法開始後に腸穿孔をきたしたという報告がなされている.
ISSN:1343-2826