食前ガムチューイングによる肥満抑制

「緒言」人類の誕生から数百万年経つが, その歴史のほとんどは, 飢餓との戦いであった. その結果, 飢餓という条件下でも生命を維持し子孫を残すことができるように, ヒトのからだは巧妙に飢餓に適応して進化してきた. すなわち, 我々は飢餓に強い遺伝子を獲得し引き継ぐことによって, 少ない食事から得たエネルギーを脂肪というかたちで貯蔵できるようになった1). しかし, これは食物の乏しい環境でこそ役割を果たしてきたが, 飽食時代といわれる現在では肥満というマイナス効果を産む結果になった. 戦後のわが国における急速な経済成長は生活環境の大きな変化, すなわち食生活の欧米化や自動車の普及による運動不足...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神奈川歯学 Vol. 45; no. 2; pp. 90 - 99
Main Authors 包隆穂, 小園知, 水野潤造, 小野弓絵, 丹羽政美, 武井典子, 久保金弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.2010
Online AccessGet full text
ISSN0454-8302

Cover

More Information
Summary:「緒言」人類の誕生から数百万年経つが, その歴史のほとんどは, 飢餓との戦いであった. その結果, 飢餓という条件下でも生命を維持し子孫を残すことができるように, ヒトのからだは巧妙に飢餓に適応して進化してきた. すなわち, 我々は飢餓に強い遺伝子を獲得し引き継ぐことによって, 少ない食事から得たエネルギーを脂肪というかたちで貯蔵できるようになった1). しかし, これは食物の乏しい環境でこそ役割を果たしてきたが, 飽食時代といわれる現在では肥満というマイナス効果を産む結果になった. 戦後のわが国における急速な経済成長は生活環境の大きな変化, すなわち食生活の欧米化や自動車の普及による運動不足を引き起こし, 日本人にはかつてほとんどみられなかった肥満が急速に増加している. 肥満とは身体に脂肪が正常以上に蓄積した状態を意味しており, この成因には過食, 摂食パターンの異常, 遺伝, 運動不足, 熱産生障害といった因子が, 複雑に絡み合っている2).
ISSN:0454-8302