新生児集中治療普及前後の脳性麻痺の発生要因
「目的」周産期医療の進歩により脳性麻痺(CP)の発生は一時期減少したが, 1980年代よりの全国的な新生児集中治療室(NICU)の普及により未熟児の生存率が増加し, 再びCPの発生率は増加したと報告される. 今回, CP児の出生時体重と在胎期間について, NICUの普及前後で比較検討した. 「対象と方法」対象は1976~1980年と1991~1995年に出生したCP患者である. 前者(A群)は当センターの前身であるひかり整肢学園の通園施設入所の25名であり, 後者(B群)は同様に当センター肢体不自由児施設の通園施設入所の30名である. このA群とB群の比較検討を行った. なお, CPの定義は厚...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 948 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1999
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」周産期医療の進歩により脳性麻痺(CP)の発生は一時期減少したが, 1980年代よりの全国的な新生児集中治療室(NICU)の普及により未熟児の生存率が増加し, 再びCPの発生率は増加したと報告される. 今回, CP児の出生時体重と在胎期間について, NICUの普及前後で比較検討した. 「対象と方法」対象は1976~1980年と1991~1995年に出生したCP患者である. 前者(A群)は当センターの前身であるひかり整肢学園の通園施設入所の25名であり, 後者(B群)は同様に当センター肢体不自由児施設の通園施設入所の30名である. このA群とB群の比較検討を行った. なお, CPの定義は厚生省脳性麻痺研究班の定義に従った. 「結果と考察」A群の出生時体重は2705.2±690.4gであり, 低出生体重児の割合は40%であった. また, 在胎期間は38.4±3.4週であり, 満期産19名, 早期産6名であった. 一方, B群では出生時体重は2076.3±1036.2g, 低出生体重児の割合は67%であった. 在胎期間は331.1±4.9週であり, 満期産10名, 早期産20名であった. B群はA群に比し, 有意に出生時体重が軽く, かつ在胎期間が短かった. このことは肢体不自由児施設入所児の変遷原因をNICUの普及に求めるものである. また, 近年は精神発達遅滞を伴う重度の重複障害児の割合が多く, さらにMRI等の診断技術の進歩により, CPであっても脳奇形を有することが判明することがあり, CP児の脳病変がより明らかに, あるいは変化しつつある印象を受ける. |
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ISSN: | 0034-351X |