造血幹細胞移植における検査技師の役割

近年, 造血幹細胞採取は骨髄, 末梢血幹細胞, 臍帯血など多種の移植細胞の選択, さらにそれらの細胞からのCD34 positive selectionとそのかたちは多様化している. 当検査室はこれまで造血幹細胞移植に関する様々な業務に携わってきたので当院における現状と検査技師としてどのように関わっていくべきか述べたい. 「業務内容」 当検査室は医師2名, 検査技師12名, 看護婦1名, 事務2名の計15名で業務を行っており, そのうち検査技師5名が造血幹細胞移植に関する業務を担当している. 1999年度の末梢血幹細胞採取患者数は自家34例, 同種4例で, 1患者当り1~3回採取を行っている....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 281
Main Authors 中塩屋千絵, 小林信昌, 板垣浩行, 倉島志保, 土田文子, 兵藤理, 安藤潔, 加藤俊一, 堀田知光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2001
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:近年, 造血幹細胞採取は骨髄, 末梢血幹細胞, 臍帯血など多種の移植細胞の選択, さらにそれらの細胞からのCD34 positive selectionとそのかたちは多様化している. 当検査室はこれまで造血幹細胞移植に関する様々な業務に携わってきたので当院における現状と検査技師としてどのように関わっていくべきか述べたい. 「業務内容」 当検査室は医師2名, 検査技師12名, 看護婦1名, 事務2名の計15名で業務を行っており, そのうち検査技師5名が造血幹細胞移植に関する業務を担当している. 1999年度の末梢血幹細胞採取患者数は自家34例, 同種4例で, 1患者当り1~3回採取を行っている. 採取日は基本的に白血球数を目安に主治医が決定するが, 判断が困難な場合はフローサイトメトリーによりCD34陽性細胞を測定し決定する. また, 採取当日のCD34陽性細胞数を処理時間, 採取日数などの判断基準にし, 効率のよい採取を目指している. 骨髄移植は1999年度は8例実施され, ABO型違い時の骨髄細胞処理として単核球分離(COBE2991による)及び血漿除去を当検査室で行っている. 臍帯血移植は1999年度は4例実施された. 臍帯血は移植のみならず, 当院で運営している臍帯血バンクへ回収した臍帯血を保存する業務も行っている. またこれら移植細胞の評価のためのコロニーアッセイも当検査室で行っている. 各業務は専任の技師が行っているため技術格差によるバラツキはほとんどない. 「今後の役割」 今まで行ってきた業務からさらに発展させ, 造血幹細胞のex vivoでの増幅や再生医療の分野への関与も期待されるであろう. 我々輸血部門の技師は細胞そのものを扱うspecialistとしてその知識と技術を充分に生かし, 今後さらに発展していくと思われる造血幹細胞移植の分野において重要な役割を担っている.
ISSN:0546-1448