気管内挿管後高度の気管狭窄をきたした1例

症例は75歳, 女性. くも膜下出血にて入院. 第2病日開頭術を施行. 術後36時間後に気管内挿管チューブを抜去した. 抜去後約24時間後に呼吸困難および喘鳴が出現. 気管支喘息の既往があることより気管支喘息重積発作を疑い, ステロイド, エピネフリン等の投与を行ったが改善せず, 再度気管内挿管を行った. 気管支鏡検査では気管から左主気管支入口部にかけて高度の浮腫が認められた. 浮腫に対しステロイドの投与を行ったところ浮腫は軽減したが気管の中間部に肉芽形成による狭窄が出現し狭窄は徐々に進行した. 病変の原因としては, 挿管時のカフの圧迫による血流障害, 気管内挿管チューブあるいは術後に使用した...

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Published in気管支学 Vol. 21; no. 6; pp. 427 - 428
Main Authors 佐藤光夫, 川部勤, 堀尾芳嗣, 長谷川好規, 下方薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.09.1999
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は75歳, 女性. くも膜下出血にて入院. 第2病日開頭術を施行. 術後36時間後に気管内挿管チューブを抜去した. 抜去後約24時間後に呼吸困難および喘鳴が出現. 気管支喘息の既往があることより気管支喘息重積発作を疑い, ステロイド, エピネフリン等の投与を行ったが改善せず, 再度気管内挿管を行った. 気管支鏡検査では気管から左主気管支入口部にかけて高度の浮腫が認められた. 浮腫に対しステロイドの投与を行ったところ浮腫は軽減したが気管の中間部に肉芽形成による狭窄が出現し狭窄は徐々に進行した. 病変の原因としては, 挿管時のカフの圧迫による血流障害, 気管内挿管チューブあるいは術後に使用した薬剤に対するアレルギー反応等が疑われたが不明であった. その後狭窄部の内径が6mm程度となったため, 透視下気管支鏡下にてSelf Expandable Metallic Stent(SEMS)を留置したところ狭窄は徐々に解除された. SEMSの良性疾患による気管支狭窄への適応については賛否両論があるが本症例の場合狭窄が極めて高度であったことより拡張能の強いSEMSの適応と判断した.
ISSN:0287-2137