ポリエチレングリコールを用いた不規則抗体検出の有用性

輸血検査において臨床的意義のある抗体を, より早期に検出できる検査法が望まれている. われわれは抗赤血球抗体検出感度について, ポリエチレングリコールを反応増強剤として用いた間接クームス法(PEG-IAT)とブロメリン法, 重合アルブミンクームス法(BSA-IAT), 自動分析装置を用いたLISP法(AA-II)との比較検討を行った. 【対象および方法】上記4法のいずれかで抗体が検出された当院患者血清38例, 熊本赤十字血液センター献血者血清16例, および市販抗血清22例の計76例を対象とし, 各法において抗体価およびスコアを測定した. 【結果】臨床的意義の高いRh式抗体およびその他の温式抗...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 356
Main Authors 福吉葉子, 吉木景子, 中満三容子, 西村要子, 山口ー成, 高月清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1994
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ISSN0546-1448

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Summary:輸血検査において臨床的意義のある抗体を, より早期に検出できる検査法が望まれている. われわれは抗赤血球抗体検出感度について, ポリエチレングリコールを反応増強剤として用いた間接クームス法(PEG-IAT)とブロメリン法, 重合アルブミンクームス法(BSA-IAT), 自動分析装置を用いたLISP法(AA-II)との比較検討を行った. 【対象および方法】上記4法のいずれかで抗体が検出された当院患者血清38例, 熊本赤十字血液センター献血者血清16例, および市販抗血清22例の計76例を対象とし, 各法において抗体価およびスコアを測定した. 【結果】臨床的意義の高いRh式抗体およびその他の温式抗体において, PEG-IATはAA-IIに次いで抗体価が高く, スコアに関しても従来法に比べ高い値を示したが, Kell式, Lewis式, MN式などの抗体では抗体価がBSA-IATと同等でありスコアが若干高いのみであった. これらの成績より平成2月より, 交差適合試験を従来のBSA-IATからPEG-IATに変更した. この結果, 7月までに交差適合試験を行った1872例(延べ検体数)において, 抗赤血球抗体が検出されたのは36例, 抗体数にすると15(抗E9, 抗C+e 1, 抗E+Fy^a 1, 抗Le^a 2, 抗Jr^a 1, 抗Ch^a 1)であった. これらのうち抗E2例, 抗Jr^a 1例はAA-IIによる抗体スクリーニングは陰性を示しており, PEG-IATによる交差適合試験により発見でき不適合輸血を未然に防止できた症例であった. 【考察】PEG-IATは, 従来法に比べ短時間感作で臨床的に有意義な抗体を高感度に検出できるため今後注目すべき検査法である.
ISSN:0546-1448