慢性圧迫状態下でのtwy mouse頸髄神経細胞の神経成長因子(BDNF, NT-3)の発現

圧迫をうけた頸髄神経細胞は, 圧迫を回避すべく偏位, 移動する細胞構築学的行動をとる(J Neurol 244:1997)が, この可塑性に関連するbrain derived neurotrophic factor(BDNF), neurotrophin(NT)-3の発現を実験的に調べたので報告する. 頸髄圧迫を来した生後20週齢のtwy mouse(n=20)を対象とし, 頸髄の凍結連続横断標本を作成, 一次抗体には抗BDNF抗体, 抗NT・3抗体(V-4)を使用してABC法による免疫染色を行った. 圧迫部位(C1-C2)髄節およびその吻尾側の頸髄を観察した. Twy mouse頸髄は圧迫部...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; p. 782
Main Authors 馬場久敏, 前沢靖久, 内田研造, 古沢修章, 小久保安朗, 阿部純久, 久保田力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:圧迫をうけた頸髄神経細胞は, 圧迫を回避すべく偏位, 移動する細胞構築学的行動をとる(J Neurol 244:1997)が, この可塑性に関連するbrain derived neurotrophic factor(BDNF), neurotrophin(NT)-3の発現を実験的に調べたので報告する. 頸髄圧迫を来した生後20週齢のtwy mouse(n=20)を対象とし, 頸髄の凍結連続横断標本を作成, 一次抗体には抗BDNF抗体, 抗NT・3抗体(V-4)を使用してABC法による免疫染色を行った. 圧迫部位(C1-C2)髄節およびその吻尾側の頸髄を観察した. Twy mouse頸髄は圧迫部位において, 前角部を中心にBDNF,NT-3の顕著な染色性の低下を示した. 圧迫より吻側ではBDNF,NT-3の発現が強くなり, 特にBDNFはinterneuron,NT-3は前角細胞にその発現が著明であった. また圧迫が高度になるにつれastroglia様細胞の出現を認めた. 慢性圧迫状態の脊髄では, 神経細胞もその生存維持のためにBDNF,NT-3を産生し(autocrine mechanism), 損傷が高度になれば周囲のintemeuronやastrogliasからもBDNFが産生される可能性が示唆された. これら神経成長因子の発現は, 圧迫下にある頸髄前角細胞の増減, 偏位, plasticityと密接に関連することが示唆された.
ISSN:0034-351X