分娩麻痺の追跡調査
18歳以上の分娩麻痺児の追跡調査は少ない. われわれは思春期以後の麻痺の状況, ADL・社会生活上の障害, 精神的悩みなどを明らかにし, OTの役割を検討するために質問紙調査を行った. 【対象・方法】1970年当院開設以来, 当科で作業療法を実施し, 現在住所の判明した62例中31例から回答を得た. 調査時の平均年齢は21.3歳(18~28歳), 男16例・女15例, 患側は右19例・左11例・両側1例, 全型14肢・上位型17肢・下位型1肢で, OTは開始が平均2.4歳, 終了が平均10.7歳であった. 質問紙は本人用と家族用に分けた. 【結果】現在, 後遺障害のないのは上位型の2例(7%)...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; pp. 885 - 886 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1995
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 18歳以上の分娩麻痺児の追跡調査は少ない. われわれは思春期以後の麻痺の状況, ADL・社会生活上の障害, 精神的悩みなどを明らかにし, OTの役割を検討するために質問紙調査を行った. 【対象・方法】1970年当院開設以来, 当科で作業療法を実施し, 現在住所の判明した62例中31例から回答を得た. 調査時の平均年齢は21.3歳(18~28歳), 男16例・女15例, 患側は右19例・左11例・両側1例, 全型14肢・上位型17肢・下位型1肢で, OTは開始が平均2.4歳, 終了が平均10.7歳であった. 質問紙は本人用と家族用に分けた. 【結果】現在, 後遺障害のないのは上位型の2例(7%)のみで, 上肢全体に障害が残るものは初診時診断が上位型では13%, 全型では57%であった. ADLは全例自立していたが, 患肢をまったく使わない全型の方が支障を感じる割合が少なかった. 仕事や学業は広範にわたり, 上位型の44%・全型の7%が患肢を有効に使用していた. 患者の70%が過去に障害について悩んでおり, 機能上は小学校高学年から中学にかけてと18歳以降に, 対人関係では小学校高学年から中学で多かった. 【考察】分娩麻痺の場合, ADLの障害は解決しうるが, 学校および社会生活では機能的問題が顕在化し, また対人関係では小学校高学年から中学にかけて悩みが多かった. われわれのOTは, この時期にフォローを終了することが多かったので, 今後はこの時期の計画的なフォローが必要と思われた. |
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ISSN: | 0034-351X |