拮抗筋の随意収縮が運動誘発電位に及ぼす影響

拮抗筋の随意収縮が標的筋(主働筋)の運動誘発電位(MEP)に及ぼす影響を検討した. 健常人に開眼, 座位で前腕中間位をとらせ, 左の撓側手根伸筋(以下ECR)と撓側手根屈筋(以下FCR)より, 最適刺激部位を閾値の1.2倍の強度で経頭蓋磁気刺激を行って得られるMEPを表面電極で記録した. 条件は, 安静, ECR10%収縮, FCR10%収縮とし, MEPの頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. 次にFCRのH波を記録し, 頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. さらに安静, 拮抗筋10%収縮, 20%収縮時に閾値の85%強度の経頭蓋磁気刺激を行い, 同心針電極でM...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 1087 - 1088
Main Authors 出江紳一, 小山祐司, 古川俊明, 石田暉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:拮抗筋の随意収縮が標的筋(主働筋)の運動誘発電位(MEP)に及ぼす影響を検討した. 健常人に開眼, 座位で前腕中間位をとらせ, 左の撓側手根伸筋(以下ECR)と撓側手根屈筋(以下FCR)より, 最適刺激部位を閾値の1.2倍の強度で経頭蓋磁気刺激を行って得られるMEPを表面電極で記録した. 条件は, 安静, ECR10%収縮, FCR10%収縮とし, MEPの頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. 次にFCRのH波を記録し, 頂点間振幅と背景筋電活動の最大頂点間振幅を計測した. さらに安静, 拮抗筋10%収縮, 20%収縮時に閾値の85%強度の経頭蓋磁気刺激を行い, 同心針電極でMEPを記録した. その結果, (1)MEP振幅は, 標的筋10%収縮>拮抗筋10%収縮>安静の順に大きかった. (2)拮抗筋収縮時には標的筋には同時収縮が観察され, その最大頂点間振幅は, 標的筋10%収縮時よりも小さかった. (3)H波振幅は, FCR収縮>安静>ECR収縮の順に大きかった. (4)標的筋収縮時に対する拮抗筋収縮時のMEP振幅比はECRの方がFCRよりも大きかった. (5)標的筋収縮時に対する拮抗筋収縮時の背景筋電図最大頂点間振幅比は, ECRとFCRとの間で差を認めなかった. (6)針電極記録によるMEP出現率は拮抗筋収縮により増大した. 以上より拮抗筋収縮時のMEP促通が確認され, ECR収縮時のFCR-H波抑制にはシナプス前抑制が関与すると示唆された. MEP振幅比のECRとFCRの差は皮質レベルで生じている可能性がある.
ISSN:0034-351X