バージャー病による障害像の特徴とリハビリテーション治療の効果について
当院リハビリテーション科(リハ科)において訓練を行ったバージャー病による切断患者をまとめ, その障害像とリハビリテーション訓練の効果を検討した. 対象は, 男性12例, 女性4例の16例で発症時平均年齢は43歳, 発症より切断までは平均2.6年であった. リハ科初診まで腰部交感神経切断術・足趾切断などの外科的処置を受けていた. 切断部位は, 単肢および多肢切断おのおの8例ずつで, 下肢切断24肢中19肢が下腿切断で, 膝離断1肢および大腿切断4肢であった. 上肢はすべて手指の切断であった. 平均機能訓練日数は119日であり, リハ科併診までの術後平均日数は約40日で, 他肢の重複切断・断端の浮...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; p. 953 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 当院リハビリテーション科(リハ科)において訓練を行ったバージャー病による切断患者をまとめ, その障害像とリハビリテーション訓練の効果を検討した. 対象は, 男性12例, 女性4例の16例で発症時平均年齢は43歳, 発症より切断までは平均2.6年であった. リハ科初診まで腰部交感神経切断術・足趾切断などの外科的処置を受けていた. 切断部位は, 単肢および多肢切断おのおの8例ずつで, 下肢切断24肢中19肢が下腿切断で, 膝離断1肢および大腿切断4肢であった. 上肢はすべて手指の切断であった. 平均機能訓練日数は119日であり, リハ科併診までの術後平均日数は約40日で, 他肢の重複切断・断端の浮腫・疼痛・心理的問題・創癒合遅延などの阻害因子のため, 訓練が長期化する傾向が見られた. 断端管理法もほとんどがSoft dressing法であった. 処方した義足は, 下腿切断ではほとんどがPTB式であり, 大腿切断ではさし込み式1肢, 処方なし3肢であった. 歩行能力は, 16例中12例が屋外独歩で, 屋内独歩および歩行不能はおのおの2例であった. 社会復帰状況では, 女性は4例中3例が主婦復帰であったのに対し, 男性は現職復帰が33%で, 50%は退職またはそれに準じる状態であったバージャー病による切断は, 循環不全に伴う問題で訓練が長期化しやすいこと, 下肢切断は下腿切断でとどまることが多く, 歩行能力は良好な例が多いこと, 疾病に伴う社会的不利が大きいことがあげられる. <質疑応答> 平井夏樹:(1)リハ科併診が遅くなる傾向に対してはできる限り早期よりのアプローチ, できれば発症後の保存的治療期も含めた, 医学的リハからのアプローチをしていきたいと考え, それにより切断後の訓練期間の短縮に努めたい. (2)血管外科は切断は敗北と考え切断したがらないことに対しては, 前の応答と同じで, できるだけ早期よりのアプローチにより, 適切な時期に適切な切断をするということを外科とともに進めていきたいと考えています. (3)外科医に切断後のリハの必要性を理解させるための最も効果的な方法は, 歩行能力の良好な義足着用患者を外科医にみせることであろう. |
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ISSN: | 0034-351X |