口腔白板症のレーザー治療と培養粘膜を用いた再生医療

臨床的ならびに組織学的に他の疾患に分類されない白斑を白板症といい, 前癌病変の代表的なもので, 約10%が癌化するとされている. 当科では口腔白板症の治療に対し, CO2レーザーを用いた外科的切除とあわせて, 再発率や異形性の程度が一般的に低いとされる歯肉に生じた広範な病変には, 蒸散処置を行っている. 切除の場合は, その創面処置に閉鎖創, 開放創, 人工真皮移植などが考えられるが, 人工真皮では他動物由来の物質であるため, その安全性に疑問が残る. そこで当科では完全自己由来の細胞をもとに培養粘膜を作製し, 臨床応用している. 患者口腔内より局所麻酔下にpunch‐biopsyにて約5×5...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 27; no. 4; p. 359
Main Authors 服部真季, 鈴木泰明, 松本耕祐, 木本明, 梶真人, 村田真穂, 尾島泰公, 時岡早苗, 横尾聡, 古森孝英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 15.01.2007
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ISSN0288-6200

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Summary:臨床的ならびに組織学的に他の疾患に分類されない白斑を白板症といい, 前癌病変の代表的なもので, 約10%が癌化するとされている. 当科では口腔白板症の治療に対し, CO2レーザーを用いた外科的切除とあわせて, 再発率や異形性の程度が一般的に低いとされる歯肉に生じた広範な病変には, 蒸散処置を行っている. 切除の場合は, その創面処置に閉鎖創, 開放創, 人工真皮移植などが考えられるが, 人工真皮では他動物由来の物質であるため, その安全性に疑問が残る. そこで当科では完全自己由来の細胞をもとに培養粘膜を作製し, 臨床応用している. 患者口腔内より局所麻酔下にpunch‐biopsyにて約5×5mm大の粘膜組織を採取し, 回収したkeratinocyteを14日間培養したのち, 無細胞真皮マトリックス;(以下AlloDerm)上に播種後4日間生着させ, その後7日間Air liquid interface培養を行ったものを患者に移植する. 培養中は一貫してFeeder Layerを用いず, また培地は動物由来物質を排除した無血清培地を使用し, AlloDermに播種後は細胞の分化, 重層化を促進する目的で高カルシウムイオン濃度とした, 今回われわれは, 口腔白板症に対し, 従来まで行われてきた方法と比較して, CO2レーザーの臨床的有用性を検討するとともに, 当科において用いている培養粘膜について臨床的に検討したので報告する.
ISSN:0288-6200