血液型キメラの1例
目的:献血者の血液型検査でおもて検査, うら検査不一致を精査したところ血液型キメラを検出したので報告する. 方法:血液型判定血清及び糖転換酵素活性は市販品を用いた. 吸着解離試験は熱解離を行い, 唾液の凝集抑制試験は成書に従った. FCM法は田中らの方法, TLC法は瀬尾らの方法で行った. またCPCで抗Bを用いて凝集部分と非凝集部分を分離した. ABO型のDNA解析は福森らの方法(RFLP法)を行い, 染色体検査はG-banding法をSRLで行った. 成績:一見おもて検査はO型に見えたが, スライド法5分で動免, 人免, モノクロ抗Bに凝集を認めた. CPCで抗Bを用いて混合血球を分離した...
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          | Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 564 - 565 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本輸血学会
    
        01.08.1994
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| ISSN | 0546-1448 | 
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| Summary: | 目的:献血者の血液型検査でおもて検査, うら検査不一致を精査したところ血液型キメラを検出したので報告する. 方法:血液型判定血清及び糖転換酵素活性は市販品を用いた. 吸着解離試験は熱解離を行い, 唾液の凝集抑制試験は成書に従った. FCM法は田中らの方法, TLC法は瀬尾らの方法で行った. またCPCで抗Bを用いて凝集部分と非凝集部分を分離した. ABO型のDNA解析は福森らの方法(RFLP法)を行い, 染色体検査はG-banding法をSRLで行った. 成績:一見おもて検査はO型に見えたが, スライド法5分で動免, 人免, モノクロ抗Bに凝集を認めた. CPCで抗Bを用いて混合血球を分離したところB型とO型は分かれたが, Rh型やその他血液型に不一致は認められなかった. FCM法で凝集部分と非凝集部分の割合は1:99であった. 血清中にB型転換酵素が認められ, 唾液及び毛髪にもB型物質が弱く認められた. RFLP法によるDNAタイピングで微量のB遺伝子が検出された. TLC法による中性糖脂質画分の抗Bの染色でBandを認めた. G-banding法による染色体検査で核型46, XYの正常であった. 家系調査の結果, 発端者は双子ではない. 結論:血液型検査でおもてO型, うらB型不一致を精査し血液型キメラを検出した. 血液型キメラにはこれまでに双生児キメラと二精子受精キメラの報告がある. 発端者は唾液, 毛髪の検査でB型物質が証明され, TLC法とRFLP法でもB抗原が認められた. 染色体検査で異常は認められなかった. 発端者は双子でないことより二精子キメラではないかと推定された. | 
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| ISSN: | 0546-1448 |