VICONを用いた頸髄症性痙性歩行の観察

頸髄症の下肢機能は, 日整会頸髄症治療判定基準(JOA score)で歩行能力として表されるが, 主観的な評価に過ぎない. 今回われわれは, 頸髄症性痙性歩行をVICON370を用いて客観的に評価し, 臨床的意義と有用性について検討したので報告する. 頸髄症性痙性歩行は, 歩行速度が遅く, 歩隔が広く・歩幅が狭い歩容と特徴づけられる. 下肢各関節の歩行時の屈伸角度変化には, 遊脚期の膝関節の屈曲・伸展の減少, 立脚期の膝関節の過伸展が特徴的であり, 重症度の評価として, 歩行時の膝関節の屈伸角度変化が有用であった. また, 股関節や足関節には有意な変化がないことが, 頸髄症性痙性歩行の特徴であ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 6; pp. 421 - 422
Main Authors 前沢靖久, 和田真, 内田研造, 古沢修章, 小久保安朗, 馬場久敏, 達山勝龍, 野瀬恭代, 嶋田誠一郎, 佐々木伸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.06.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:頸髄症の下肢機能は, 日整会頸髄症治療判定基準(JOA score)で歩行能力として表されるが, 主観的な評価に過ぎない. 今回われわれは, 頸髄症性痙性歩行をVICON370を用いて客観的に評価し, 臨床的意義と有用性について検討したので報告する. 頸髄症性痙性歩行は, 歩行速度が遅く, 歩隔が広く・歩幅が狭い歩容と特徴づけられる. 下肢各関節の歩行時の屈伸角度変化には, 遊脚期の膝関節の屈曲・伸展の減少, 立脚期の膝関節の過伸展が特徴的であり, 重症度の評価として, 歩行時の膝関節の屈伸角度変化が有用であった. また, 股関節や足関節には有意な変化がないことが, 頸髄症性痙性歩行の特徴であった. 各種パラメータと臨床症状には強い相関を認め, 歩行解析システムを用いた頸髄症性痙性歩行の評価解析は有用であった. 特に, 膝関節の歩行時の屈伸角度変化は, 下肢痙性の重症度の指標となりうると考えられた.
ISSN:0034-351X