骨粗鬆のある高齢者に対する上腕骨近位部骨折の新しい治療方法
「目的」高齢者の上腕近位端骨折に対しては, これまで良い固定法がなく保存的に治療されることが多かった. そのため, 本骨折後の可動域制限は必発とも言えた. しかし, 今回の治療法にて術後早期からのリハビリテーションが可能となり, 肩関節の拘縮も認められず良好な成績を得たので報告する. 「対象」当院で治療を行った本骨折のうち, 80歳以上の症例は4例であった. 手術時年齢は81~83歳(平均82歳). 骨密度はstiffness:45~73(平均61), Age Matching:74~99%(平均88%), Young Matching:49~66%(平均54%)であった. 術後の評価は, J...
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          | Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1118 | 
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| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本リハビリテーション医学会
    
        18.12.2000
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| ISSN | 0034-351X | 
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| Summary: | 「目的」高齢者の上腕近位端骨折に対しては, これまで良い固定法がなく保存的に治療されることが多かった. そのため, 本骨折後の可動域制限は必発とも言えた. しかし, 今回の治療法にて術後早期からのリハビリテーションが可能となり, 肩関節の拘縮も認められず良好な成績を得たので報告する. 「対象」当院で治療を行った本骨折のうち, 80歳以上の症例は4例であった. 手術時年齢は81~83歳(平均82歳). 骨密度はstiffness:45~73(平均61), Age Matching:74~99%(平均88%), Young Matching:49~66%(平均54%)であった. 術後の評価は, JOA-scoreにて評価を用いた. 「方法」伝達麻酔下に, 骨頭部に7.0mmテーパー状海綿骨ピン(ACE Pelvic screw)を刺入し, 骨幹部には4.0mmのhalf pinを刺入する. この4本のピンを保持し, 透視下に骨折を整復・創外固定する. 「結果・考察」4症例とも骨密度で示されたように, 骨質は良くなかったが, ピンが2本入った段階で骨頭側の骨片を整復操作可能となった. 全例, 整復位での固定が得られた. 術後2~3日で可動域訓練も可能となった. このため, 肩の拘縮は全く認めない. JOA-scoreで74~85点(平均79点), 健側比81~94%(平均87%). 高齢者の増加とともに本骨折も多くなってきており, 今後も患者のADLの確保のためにも積極的に取り入れられる治療法の1つであると考えられる. | 
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| ISSN: | 0034-351X |