脳血管障害患者における骨代謝の検討
「目的」脳血管障害(以下CVD)の急性期と慢性期における骨代謝を検討した. 「対象と方法」対象は片麻痺を有するCVD男性患者15例で, 入院時の片麻痺の重症度から高度片麻痺群(SH群:Modifide Rankin Scale3点以上)7例(44~73歳, 59.6±11.0歳, 右麻痺が3例と左麻痺が4例)と, 軽度片麻痺群(MH群:2点以下)8例(34~73歳, 58.5±12.1歳)の2群に分けた. 方法は発症7日以内の急性期(A期)と1~3ヵ月後の慢性期(C期)に, CXD法を用いた骨塩定量装置による麻痺側と健側の第二中手骨の骨塩定量を行った. また血中Ca, オステオカルシン, カル...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1113 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.2000
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」脳血管障害(以下CVD)の急性期と慢性期における骨代謝を検討した. 「対象と方法」対象は片麻痺を有するCVD男性患者15例で, 入院時の片麻痺の重症度から高度片麻痺群(SH群:Modifide Rankin Scale3点以上)7例(44~73歳, 59.6±11.0歳, 右麻痺が3例と左麻痺が4例)と, 軽度片麻痺群(MH群:2点以下)8例(34~73歳, 58.5±12.1歳)の2群に分けた. 方法は発症7日以内の急性期(A期)と1~3ヵ月後の慢性期(C期)に, CXD法を用いた骨塩定量装置による麻痺側と健側の第二中手骨の骨塩定量を行った. また血中Ca, オステオカルシン, カルシトニン, PTHを測定し, SH群とMH群での比較検討を行った. 「結果」骨塩定量に関してMCI(骨皮質幅指数)は, SH群では麻痺側のA期が0.507, C期が0.447, 健側のA期が0.461, C期が0.464であり, 麻痺側の特にC期で低値を示した. 一方MH群では麻痺側はA期, C期とも0.470, 健側のA期が0.473, C期が0.485であり, 経過や麻痺側と健側間で有意な差はなかった. 血中骨代謝マーカーに関してCaとオステオカルシン値は, SH群およびMH群のA期とC期で明らかな変動は認められなかった. カルシトニンはSH群でA期からC期でむしろ増加する傾向が見られた. 「結論」CVD患者の麻痺側上肢の骨代謝変化は, SH群でむしろ慢性期により明らかになると考えられた. 健側の骨塩定量の変化を含めた詳細な経時的変化を明らかにするために, さらに縦断的検討が必要である. |
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ISSN: | 0034-351X |