脳性麻痺に対する股周囲筋解離術の成績
「目的」脳性麻痺患者では股周囲筋の痙性および筋力不均衡による脱臼あるいは亜脱臼を生じる. これらの股関節障害に対し施行した股周囲筋解離術の成績を検討した. 「対象および方法」対象は18例29股である. 男性13例, 女性5例であり, 病型は痙直型四肢麻痺4例, 痙直型両麻痺13例, アテトーゼ型1例であった. 手術時年齢は2~10歳(平均5.5歳), 追跡期間は3カ月~9年(平均4年9カ月)であった. 股関節に対する手術方法は股関節内転筋群全切離あるいは部分切離に, 拘縮の状況により腸腰筋切離あるいは延長, 大腿直筋切離, 内側ハムストリング遠位部での延長およびアキレス腱の延長を適宜追加した....
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; pp. 862 - 863 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1998
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」脳性麻痺患者では股周囲筋の痙性および筋力不均衡による脱臼あるいは亜脱臼を生じる. これらの股関節障害に対し施行した股周囲筋解離術の成績を検討した. 「対象および方法」対象は18例29股である. 男性13例, 女性5例であり, 病型は痙直型四肢麻痺4例, 痙直型両麻痺13例, アテトーゼ型1例であった. 手術時年齢は2~10歳(平均5.5歳), 追跡期間は3カ月~9年(平均4年9カ月)であった. 股関節に対する手術方法は股関節内転筋群全切離あるいは部分切離に, 拘縮の状況により腸腰筋切離あるいは延長, 大腿直筋切離, 内側ハムストリング遠位部での延長およびアキレス腱の延長を適宜追加した. 術前後の評価は単純X線股関節正面像上のCE角を計測し, 術者の骨頭側方化の程度, 手術時年齢, 術前の運動能力, 手術方法との関連を検討した. 「結果」X線像における成績不良例と良好例では手術時年齢, および脳性麻痺の病型に差は認められなかった. しかし, 術前の運動能力の劣る症例, 術前のCE角が-20度未満の症例, 内側ハムストリングの延長を施行していない症例に成績不良例が多かった. 「考察」脳性麻痺児の股関節亜脱臼, 脱臼を放置すると座位バランスの低下や疼痛を生じ, リハビリテーションの障害となりうる. 高度の外反股や臼蓋形成不全を合併する症例では, 股周囲筋解離術単独で求心位の保持が不十分であり, 大腿骨骨切り術等の併用を考慮すべきと考えている. |
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ISSN: | 0034-351X |