左室流出路狭窄を伴うたこつぼ型心筋障害のβ遮断薬治療中に心破裂を来した1症例

症例は67歳, 女性. 自転車運転中に胸痛を自覚し当センターへ搬送された. 非侵襲的検査と緊急心臓カテーテル検査により, 左室流出路狭窄と僧帽弁前尖の収縮期前方運動による高度僧帽弁逆流を伴ったたこつぼ型心筋障害と診断した. ただちにmetoprorol内服を開始し圧較差と僧帽弁逆流は軽減した. 第6病日に頸静脈怒張が出現し, 心エコー所見より左室流出路圧較差再増強からoozing型心破裂を来した心タンポナーデと診断した. propranorol静注後に開胸手術が行われ, oozingは瘤頂点からではなく瘤辺縁の壁運動変曲点からのもので, 同部をフィブリンパッチで覆い終了し, 後日軽快退院した....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 38; no. 2; pp. 114 - 118
Main Authors 荒尾憲司郎, 安隆則, 菅原養厚, 久保典史, 安達秀雄, 川上正舒, 斎藤宗靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.02.2006
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

More Information
Summary:症例は67歳, 女性. 自転車運転中に胸痛を自覚し当センターへ搬送された. 非侵襲的検査と緊急心臓カテーテル検査により, 左室流出路狭窄と僧帽弁前尖の収縮期前方運動による高度僧帽弁逆流を伴ったたこつぼ型心筋障害と診断した. ただちにmetoprorol内服を開始し圧較差と僧帽弁逆流は軽減した. 第6病日に頸静脈怒張が出現し, 心エコー所見より左室流出路圧較差再増強からoozing型心破裂を来した心タンポナーデと診断した. propranorol静注後に開胸手術が行われ, oozingは瘤頂点からではなく瘤辺縁の壁運動変曲点からのもので, 同部をフィブリンパッチで覆い終了し, 後日軽快退院した. たこつぼ型心筋障害には流出路狭窄を伴う症例が少数あり, β遮断薬が有効といわれている. 適応を十分検討した上で短時間作用性のβ遮断薬から開始し, 経時的評価と至適用量調節を適宜行うことが必要と思われた.
ISSN:0586-4488