単冠動脈症・バルサルバ洞低形成を合併した大動脈二尖弁狭窄症の1症例

単冠動脈症は非常に珍しい心奇形で, 0.2-1.3%に起こると言われている. 今回我々は, 大動脈二尖弁狭窄症に単冠動脈症, バルサルバ洞低形成を合併した症例を経験した. 症例は48歳, 男性で, 呼吸困難感で来院した. 胸部X線, 心エコーで大動脈二尖弁狭窄症に起因する心不全と診断し, 利尿薬で治療した. 心不全改善後に行った冠動脈造影で, 正常に走行をした左冠動脈とその中枢側から肺動脈の前方を通り通常の右冠動脈様の走行をした血管を認め, Liptonの分類LII-A型の単冠動脈症と診断した. 大動脈造影で, 大動脈弁は二尖弁からなり, 大動脈弁閉鎖不全II度とバルサルバ洞低形成を認めた....

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Published in心臓 Vol. 32; no. 9; pp. 715 - 719
Main Authors 竹中創, 中村展招, 城田欣也, 須山浩美, 塩出宣雄, 後藤泰利, 中澤芳夫, 井上勝美, 永松力, 松田光彦, 洞井和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.09.2000
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ISSN0586-4488

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Summary:単冠動脈症は非常に珍しい心奇形で, 0.2-1.3%に起こると言われている. 今回我々は, 大動脈二尖弁狭窄症に単冠動脈症, バルサルバ洞低形成を合併した症例を経験した. 症例は48歳, 男性で, 呼吸困難感で来院した. 胸部X線, 心エコーで大動脈二尖弁狭窄症に起因する心不全と診断し, 利尿薬で治療した. 心不全改善後に行った冠動脈造影で, 正常に走行をした左冠動脈とその中枢側から肺動脈の前方を通り通常の右冠動脈様の走行をした血管を認め, Liptonの分類LII-A型の単冠動脈症と診断した. 大動脈造影で, 大動脈弁は二尖弁からなり, 大動脈弁閉鎖不全II度とバルサルバ洞低形成を認めた. 左室-大動脈圧較差は180mmHgであった. 大動脈弁輪拡大, 大動脈弁置換術を行い, 術後経過は良好であった. 単冠動脈症は非常に珍しい心奇形で, 0.2-1.3%に起こる1)~3)と言われている. 今回我々は, 大動脈二尖弁狭窄症に単冠動脈症, バルサルバ洞低形成を合併した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488