Tk-Polyagglutinationを呈した溶血性貧血の1症例
Polyagglutinationは赤血球膜の変化により赤血球が血液型と関係なく, 臍帯血清を除く全ての成人血清と赤血球凝集反応をおこす現象であり, 重症の細菌感染症および血液疾患において稀に認められる. この反応は通常ABO式血液型のオモテ・ウラ不一致により検出されるが, 小児を除くと溶血性貧血の報告例は少ない. 今回我々はTk-Polyagglutinationを呈した溶血性貧血症例を経験したので報告する. 症例:74歳, 男性. 平成8年9月中旬感冒と診断されるが, 10月下旬には黄疸が著明となり, Hbの低下およびビリルビンの増加を認めたため溶血性貧血が疑われ, 11月入院となる. 入...
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          | Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 697 - 698 | 
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| Main Authors | , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本輸血学会
    
        01.12.1998
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| ISSN | 0546-1448 | 
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| Summary: | Polyagglutinationは赤血球膜の変化により赤血球が血液型と関係なく, 臍帯血清を除く全ての成人血清と赤血球凝集反応をおこす現象であり, 重症の細菌感染症および血液疾患において稀に認められる. この反応は通常ABO式血液型のオモテ・ウラ不一致により検出されるが, 小児を除くと溶血性貧血の報告例は少ない. 今回我々はTk-Polyagglutinationを呈した溶血性貧血症例を経験したので報告する. 症例:74歳, 男性. 平成8年9月中旬感冒と診断されるが, 10月下旬には黄疸が著明となり, Hbの低下およびビリルビンの増加を認めたため溶血性貧血が疑われ, 11月入院となる. 入院時検査所見:RBC125×10^4 /μl,Hb5.8g/dl, Ht15.4%, Ret32.7%, WBC9, 100/μl, PLT35.1×10^4 /μl, HPG<10mg/dl, CRP2.9mg/dl, T-Bi1 4.7mg/dl, D-Bil 1.7mg/dl, LDH860U/l(I型), 寒冷凝集素価128倍, 尿中ウロビリノーゲン(4+), 直接クームス試験判定不能(生食対照陽性), 間接クームス試験全て陽性(自己対照含む), 血液型オモテAB型・ウラO型(不一致), Rh(D)判定不能(対照陽性). 患者血液はEDTA採血でかなり凝集が強く, 加温しても凝集は崩れなかった. 検査所見よりPolyagglutinationによる溶血性貧血が疑われ精査を行った. 考察とまとめ:今回の症例は先行感染(カンジタ肺炎)に起因したTk-Polyagglutinationによる自己免疫性溶血性貧血であり, 原疾患に対する治療を行うことで, 肺炎の軽快に伴い溶血所見も改善し輸血を行わずに貧血も徐々に同復した. | 
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| ISSN: | 0546-1448 |