カドミウム投与ラットの腎刷子縁膜におけるクエン酸の取り込み

電池・メッキ等の製造の作業場において, ヒュームとして吸入する危険のあるカドミウムは無機水銀とともに腎近位尿細管に障害を起こす. ヒトにおいてカドミウム曝露により, 高カルシウム尿症となり高頻度に尿路結石が発生するとの疫学的報告もある. スウェーデンにおいてFribergは, より高度に尿細管が障害されたカドミウム曝露者においては, 結石発生の頻度は少ないとの報告をした. 一方, 尿中クエン酸はカルシウムのキレート剤として尿路結石の阻止因子として重要である. 今回, in vitroとin vivoにおいてラット腎刷子縁膜小胞(BBMV)におけるクエン酸の取り込みに対するカドミウムの影響を検討...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 52
Main Authors 佐藤一博, 日下幸則, 張群衛, 岡田謙一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.1998
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ISSN1341-0725

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Summary:電池・メッキ等の製造の作業場において, ヒュームとして吸入する危険のあるカドミウムは無機水銀とともに腎近位尿細管に障害を起こす. ヒトにおいてカドミウム曝露により, 高カルシウム尿症となり高頻度に尿路結石が発生するとの疫学的報告もある. スウェーデンにおいてFribergは, より高度に尿細管が障害されたカドミウム曝露者においては, 結石発生の頻度は少ないとの報告をした. 一方, 尿中クエン酸はカルシウムのキレート剤として尿路結石の阻止因子として重要である. 今回, in vitroとin vivoにおいてラット腎刷子縁膜小胞(BBMV)におけるクエン酸の取り込みに対するカドミウムの影響を検討した. BBMVにおけるクエン酸の取り込みは, カドミウムにより時間依存的・濃度依存的に障害され, 高度又は長時間カドミウムに曝露された場合尿中クエン酸排泄量は増加し結石の頻度が低下する可能性が示唆された.
ISSN:1341-0725