市販靴を利用した底背屈アシスト短下肢装具

【目的】神経筋疾患における足部麻痺症例に対して, 従来からの短下肢装具では特に小児例において, 重量・外観・屋内外での使用・成長に伴う不適合など問題が多かった. そこで市販靴を利用し底・背屈補助機構を加えたプラスチック足継手の短下肢装具を考案した. 外観上違和感も少なく軽量であり, 良好な結果が得られたので報告する. 【構造】本装具は市販靴にプラスチックを組み合わせたもので, 足継手はプラスチックを二枚重ねとし, ツルマキバネにて底・背屈両方向のコントロールを行う. 通常は中間位とし底・背屈筋力に応じて調節し, 底屈アシストを有効に伝えるため足尖までシャンクを挿入した. 重量は片足で約350...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 12; p. 1013
Main Authors 大橋浩太郎, 山鹿眞紀夫, 井手淳二, 大串幹, 高木克公, 福本和仁, 森修, 中島伸一, 徳田章三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1996
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】神経筋疾患における足部麻痺症例に対して, 従来からの短下肢装具では特に小児例において, 重量・外観・屋内外での使用・成長に伴う不適合など問題が多かった. そこで市販靴を利用し底・背屈補助機構を加えたプラスチック足継手の短下肢装具を考案した. 外観上違和感も少なく軽量であり, 良好な結果が得られたので報告する. 【構造】本装具は市販靴にプラスチックを組み合わせたもので, 足継手はプラスチックを二枚重ねとし, ツルマキバネにて底・背屈両方向のコントロールを行う. 通常は中間位とし底・背屈筋力に応じて調節し, 底屈アシストを有効に伝えるため足尖までシャンクを挿入した. 重量は片足で約350 gと軽量であり, コスメティックにも良好で抵抗なく装着できる. 【対象】脊髄髄膜瘤術後の小児4例(5~8歳)であり, いずれも両足部の変形を伴い下腿三頭筋に明らかな筋力低下を認めた. 【結果および考察】小児の神経筋疾患による足部の麻痺や変形に対する装具療法としては, 従来から金属支柱付短下肢装具やプラスチック製短下肢装具が使用されているが, 重量・外観上の問題などで実際には使用されていないことも多い. また使用例においても足関節周囲筋の麻痺により, プッシュオフ時の推進力の低下や安静立位時の動揺などがみられ, 対応に苦慮することが多い. 本装具は, 底・背屈両方向のコントロールを可能にしたことで, 足関節周囲筋麻痺がありながら立位バランスは向上し, 歩行にも改善がみられた.
ISSN:0034-351X