当院における超未熟児の交換輸血の現状

【目的】超未熟児では交換輸血が種々の疾患の治療法として選択されてきたが, 交換輸血に代わる治療手段が考案され, その頻度は減少してきている. しかし, 一旦交換輸血が施行された場合, 超未熟児では循環血液量が少なく, 諸臓器の予備能力に乏しいことから使用した血液の性状により過大な副反応が生ずる可能性がある. 交換輸血の副反応を未然に防止すべく, 超未熟児の交換輸血の現状を解析し検討したので報告する. 【対象及び方法】平成4年10月から平成5年12月までの1年間に当科へ入院し, 交換輸血が施行された8例の超未熟児を対象とした. 交換輸血は200ml/kg前後を目安として20ml/3~5分の速度で...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 300
Main Authors 白川嘉継, 村上知恵, 白幡聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1994
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】超未熟児では交換輸血が種々の疾患の治療法として選択されてきたが, 交換輸血に代わる治療手段が考案され, その頻度は減少してきている. しかし, 一旦交換輸血が施行された場合, 超未熟児では循環血液量が少なく, 諸臓器の予備能力に乏しいことから使用した血液の性状により過大な副反応が生ずる可能性がある. 交換輸血の副反応を未然に防止すべく, 超未熟児の交換輸血の現状を解析し検討したので報告する. 【対象及び方法】平成4年10月から平成5年12月までの1年間に当科へ入院し, 交換輸血が施行された8例の超未熟児を対象とした. 交換輸血は200ml/kg前後を目安として20ml/3~5分の速度でダイアモンド法で行った. 【結果】対象症例の在胎期間は22週4日-29週0日, 出生体重は265g~950gであった. 交換輸血時の日齢と体重はそれぞれ3日~37日, 290g~975gであった. 交換輸血の原因となった疾患は敗血症+DIC5例, 脳室内出血+DIC2例, 黄疸1例であった. 使用血液としては, 濃厚赤血球+凍結血漿, あるいは洗浄赤血球に濃厚血小板血漿が混じて使用された. 著明な副反応としては, 8例中1例で高カリウム血症(以下, 高K)から腎不全を発症し, 2例で低カルシウム(以下, 低Ca)によると思われる徐脈, 心停止を認めた. 平成4年10月, 高Kをきたした1症例を経験した後より, 交換輸血では採取3日以内の濃厚赤血球あるいは洗浄赤血球が使用された. その後の交換輸血では7例全例で高Kは認められなかった. さらに低Caを認めた後より, 交換輸血用血液にはヘパリンが1U/ml, 8.5%グルコン酸カルシウムが1~0.5ml/dlの濃度でそれぞれ添加された. このように血液が調整されるようになった後に交換輸血が施行された4例では, 脈拍, 血圧の変動が認められることなく経過した. 【結語】超未熟児の中でも在胎週数, 出生体重が著しく低い児では, 成熟児で施行される交換輸血の方法では循環動態を安定に保つことは困難と考えられたため血液製剤の工夫が必要である.
ISSN:0546-1448